【3月14日 AFP】北朝鮮の国営メディアはここ2週間で、軍事演習を指導する金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長の様子を4度にわたり伝えているが、同伴した将校たちから金氏を際立たせる点の一つとして、新型コロナウイルス対策のマスクがある。金氏だけが、マスクを着けていないのだ。

 北朝鮮は、隣国の中国から世界中に拡散した新型ウイルスの流行阻止に総力を挙げて取り組んでおり、数千人の隔離や、外交官を含む外国人数百人の自宅待機といった措置を取っている。

 国営メディアは市民に対し、健康関連の指示に従うよう呼び掛け、人々がそろってマスクを着用している姿を伝え続けている。ただ、唯一の例外が、最高指導者の金氏だ。

 北朝鮮は金氏のイメージを注意深く管理・調整している。専門家らは、マスクを着けていない金氏の姿には意図的なメッセージがあると指摘する。

 韓国の北朝鮮関連ニュースサイト「NKニュース(NK News)」の上級アナリスト、レイチェル・ミニョン・イ(Rachel Minyoung Lee)氏は、金氏が「自分は新型ウイルスを恐れておらず、感染を超越した存在であることを人々に示したいのかもしれない」と述べた。

 韓国・東国大学(Dongguk University)の高有煥(Koh Yu-Hwan)教授(北朝鮮学)は、マスクを着用した画像は「カリスマ性を傷つける」ものであり、「自分の身を守るためにウイルス感染を怖がっている臆病者のように」みえる恐れがあると指摘している。(c)AFP