【4月25日 AFP】ブラジルのレストラン経営者リカルドさんは、パンケーキのような形をした地球の模型の横に座り「ははは!」と大笑いした。リカルドさんが地球は平面だと話すと、このような反応が返ってくるのだという。

 60代のリカルドさんは、このような反応があるためフルネームは明かしたくないと話す。リカルドさんがサンパウロ(Sao Paulo)で経営するレストランは、地球は球体だという考えを否定する人々の出会いの場となっている。

「私が確実に分かっているのは、自分がいつかは死ぬということと、地球が平らだということだ」とリカルドさんは語った。

 調査会社ダッタフォーリャ(Datafolha)によると、ブラジルの全人口の7%に当たる1100万人以上が地球は平らだと信じている。

 ブラジルの地球平面説を信じるグループは、時には偏執的と思えるほど秘密主義だ。メッセージアプリの「ワッツアップ(WhatsApp)」や招待制のフェイスブック(Facebook)グループなどでやり取りすることが多い。

 このような閉じられた場では、地球は平らで固定された物体であるという自分たちが信じる説を、バカにされる恐れもなく自由に議論できるという。

 地球平面論者らは、物理学、光学、聖書の解釈を交えながら、自分たちの主張に反する証拠はすべて陰謀だとして却下する。

 ダッタフォーリャによると、地球平面説を信じているブラジル人の大半はカトリック教徒またはキリスト教福音派の男性で、教育水準は比較的低いという。

 だが教育と知識を混同してはいけないと、地球平面論者は警告する。

 50歳の実業家アンデルソン・ネベス(Anderson Neves)さんは、「地球平面論者は一番賢い。そこのところを書いてくれよ!」と言った。ネベスさんは、両手いっぱいにニュートンとコペルニクスの「でっち上げ」を非難する内容のパンフレットを携えて、リカルドさんのレストランに入って来た。

「悪質な疑似科学が世界中の教育システムを破壊している」とそのパンフレットの一つに書いてあった。さらに地球が丸いとの主張は「世界のエリートによる人類最大のうそだ」との主張もあった。

 一方、サンパウロ大学(University of Sao Paulo)の天文学者ロベルト・コスタ(Roberto Costa)氏は、科学者にとって地球平面説は、科学的な問題というよりも、心理学的または社会学的な問題に思えると述べている。(c)AFP/Pascale TROUILLAUD