【3月10日 AFP】米連邦検察は9日、巧妙なドーピング計画を組織していたとして、優勝馬のマキシマムセキュリティ(Maximum Security)を管理している調教師ジェイソン・サービス(Jason Servis)容疑者のほか、獣医師や関係スタッフの計27人が訴追されたと公表した。

 米連邦検察が訴追した中では史上最大規模になるという競馬の事件では、サービス容疑者らが馬券購入者を欺き、巨大産業の競馬界から利益をむさぼる悪質な計画に関与したとされる。

 検察によれば、捜査では不正行為を指摘されている27人が、「残酷かつ非人道的」に馬を扱っていた証拠が見つかったという。中でもサービス容疑者は「実質上、自身が管理するすべての競走馬」に運動能力向上剤を投与していたとされている。

 第145回ケンタッキーダービー(145th Kentucky Derby、3歳、ダート2000メートル)で1位入線を果たしたものの、他の馬の進路を妨害したとして降着となったマキシマムセキュリティは、サービス容疑者がドーピングをしていた馬の一頭で、世界中のレースに参戦。先月にはサウジアラビアの首都リヤドで開催された世界最高賞金の新設レース、サウジカップ(The Saudi Cup 2020、ダート1800メートル)で1着となり、賞金1000万ドル(約10億4000万円)を獲得していた。

 米連邦捜査局(FBI)ニューヨーク支部のウィリアム・F・スウィーニー(William F. Sweeney)副支局長は、ドーピングに使われていた物質は馬を本来の能力より速く走らせたり、けがのリスクを増加させたりするものだったと明かした。

「これらの馬に起きていたことは、虐待以外の何ものでもない」「馬は心臓への負担、骨折につながる過労、けがのリスク増加を経験し、場合によっては死に至るケースもあった」 (c)AFP