【3月9日 AFP】イタリア各地の刑務所で、新型コロナウイルスの流行阻止のため家族との面会禁止などを盛り込んだ新規定をめぐって暴動が起き、1人が死亡、複数の負傷者が出ている。受刑者のための人権団体が8日、明らかにした。

【写真】移動制限措置が設けられた北部の様子

 暴動が起きたのは南部ナポリ(Naples)、北部モデナ(Modena)、中部フロジノーネ(Frosinone)、北西部アレッサンドリア(Alessandria)にある刑務所。この他、北部パドバ(Padova)や南部バーリ(Bari)、フォッジャ(Foggia)、パレルモ(Palermo)でも暴動発生の報道がある。

 人権団体アンティゴーネ(Antigone)によると、このうちモデナの刑務所で受刑者1人が死亡、刑務官2人が負傷し、職員約20人が刑務所の外に避難した。受刑者が死亡した詳しい経緯は不明。刑務官らでつくる労働組合によれば、暴動発生後に受刑者約80人が別の刑務所に移送された。

 フロジノーネでは、受刑者約100人が刑務所内の一角にバリケードを築き、警察が出動して対応に当たった。一方、ミラノ(Milan)南郊パビア(Pavia)の刑務所では一時、刑務官2人が人質となり、受刑者が監房の鍵を奪って他の受刑者を解放し始めたとの情報がある。

 現地メディアは未確認情報として、刑務官相手や対立する受刑者グループ間の暴力行為が起きていると伝えている。

 伊AGI通信によれば受刑者らは、恋人や家族と面会する権利などを含む要求リストを用意し、刑務所管理当局との交渉を求めたという。ナポリ・ポッジョレアーレ(Poggioreale)地区の刑務所前には受刑者の家族らが集まり、支持を訴えている。(c)AFP