【3月16日 東方新報】中国・上海の民間シンクタンク・胡潤研究院(Hurun Research Institute)による「2020胡潤グローバル富豪ランキング」リポートが2月下旬に公表された。中国のランキングで、IT企業グループ「アリババ」の創業者・馬雲(ジャック・マー、Jack Ma)氏が一族総資産3150億元(約4兆7976億円)でトップとなった。

 世界ランキングのトップは米アマゾン・ドットコム(Amazon.com)のジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)最高経営責任者(CEO)で、3年連続で世界一となった。資産は9800億元(約14兆7500億円)。

 55歳のマー氏は、世界ランキングでは21位で、去年より一つ上がった。胡潤研究院によれば、昨年11月にアリババは香港上場に成功、わずか2か月で株価は2割以上上昇し、株価の総額は4兆元(約60兆円)を突破したという。今年1月に発表された「胡潤研究院中国500強企業」でも、第1位にランキングされている。

 中国ランキング第2位は、SNSの微信(ウィーチャット、WeChat)を展開するITプラットフォーム企業「騰訊(テンセント、Tencent)」の馬化騰(Pony Ma)氏で、世界ランキングは22位。テンセントは2008年以来、計700企業に投資、うち60企業の上場を成功させている。最近一年では、ゲーム実況動画サービス企業「闘魚(Douyu)」とネット証券の富途証券(Futu)が米ナスダック(Nasdaq)に上場した。資本価値は2兆9000億元(約43兆5600億円)。

 中国第3位は62歳の許家印(Xu Jiayin)氏。不動産最大手の恒大集団(Evergrande Group)の創業者で会長だ。世界ランキングは31位。最近の新型コロナウイルス感染拡大の影響下で、不動産の「ネット販売」を行い、わずか3日で4万7500戸以上の不動産、580億元(約8700億円)相当を売りさばいた。恒大集団は資本総額2210億元(約3兆3000億円)で中国500強企業の第20位だ。

 この一年で、全世界で資産10億ドル(約1055億円)以上の企業家は346人増えて、計2816人と記録を更新した。この中で中国富豪は799人、米国より173人多く、中国は5年連続、世界で一番富豪の多い国となった。

 胡潤研究院の創設者で英国の経済コンサルタントのルパート・フーゲワーフ(Rupert Hoogewerf)氏は「今日の中国で資産10億ドル企業家は米国、インドを合わせてもさらに多い」と指摘。「米国、インド、中国のハイテク株価が激増し、株式市場で強く、10億ドル企業家の人数を更新させた。中国だけで182人の10億ドル企業家が新たに誕生し、この増加率は米国の3倍で、富豪数の米国との差を拡大した」という。

 女性の活躍も中国が際立っており、女性企業家ランキングのうち51%が中国人。女性創業者ランキングでも、不動産企業の竜湖集団(Longfor Group)の呉亜軍(Wu Yajun)氏が資産990億元(約1兆5000億円)でトップに立った。

 中国の富豪ランキング中、7割が伝統的既存産業、3割が新興産業に従事していた。新興産業の中で、先進技術、健康、メディア・娯楽の3分野が約8割を占めていた。

 昨年は中国経済の急減速が指摘され、さらに年明けから新型肺炎の影響で中国経済の先行きは暗いとみられているが、その苦境の中でも、勝ち組は中国人が一番多いようだ。(c)東方新報/AFPBB News