■「曲線の世界」へ

 ルブタン氏のヒールへの興味は、10歳の時に始まった。ポルトドレ宮殿(Palais de la Porte Doree)の寄せ木張りの床を守るために掲げられた、ハイヒールでの入館禁止の看板を見たことがきっかけだった。「その看板のおかげで、ハイヒールのデザインを始めた」と話す。ルブタン氏はその看板で「曲線の世界」へといざなわれ、自身の芸術が形作られたという。

「ハイヒールが禁じられているということが、無意識に働きかけたのだと思う。(中略)謎めいていると感じたのと同時にフェティシズム的な面もあった。(中略)単にハイヒールの絵を描くだけのことが、性的な意味合いを持つことがしばしばあった」

 回顧展「エキシビショニスト(Exhibitionist)」はパリ・ポルトドレ宮殿にある博物館で先月26日から開催されていたが、新型コロナウイルスの影響で一時閉館となっている。会期は7月26日までの予定だが再開は未定。(c)AFP/Olga NEDBAEVA