【3月2日 AFP】イラクの首相候補に指名されていたムハンマド・アラウィ(Mohammad Allawi)元通信相が1日、組閣を断念し、次期首相を辞退した。

 アラウィ氏の辞退によってイラクの政治空白は長引き、同国はさらに深刻な政情不安に陥っている。バルハム・サレハ(Barham Saleh)大統領は15日以内に新たな首相候補を提案することとなった。大統領は国会審議を経ずに一方的に新候補を指名することができる。

 アデル・アブドルマハディ(Adel Abdel Mahdi)前首相が昨年12月に辞任して以降、イラクでは法的に曖昧な状態が続いている。同国憲法にはこのような辞任に関する規定が一切ないためだ。

 首相候補が組閣を断念するのも今回のアラウィ氏が初めてで、憲法上の期限と今後の法的手続きの大部分が不透明のままとなっている。

 アラウィ氏はサレハ大統領に宛てた書簡で、辞退の決断を下した理由について「一部の党派が、内閣改造、あるいは国民との約束を果たすことに真剣ではなかった」からだとしている。

 さらにアラウィ氏は、内閣承認の議会に議員が何度も集まらなかったことは、無党派議員らによる内閣発足の動きを一部議員が妨害しようとしていたことの表れだったと指摘した。

 激しく分裂したイラク国会はこれまでに3回、信任投票の招集に失敗した。3回目の招集は1日に行われたが、これは先週2度にわたり延期されていた。出席したのは329議席中わずか108人で、その数時間後にアラウィ氏は首相候補の辞退を発表した。(c)AFP