【12月7日 AFP】首都バグダッドなどで大規模な反政府デモが続くイラクで、2017年にイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の支配から解放されたが、いまだデモをすることもままならない状況の北部モスル(Mosul)の若者らが、デモ参加者に連帯を示すために作ったミュージックビデオが話題となっている。

 ミュージックビデオの曲は、第2次世界大戦(World War II)中のイタリアの反ファシズム歌「さらば恋人よ(Bella Ciao)」をアレンジしたもので、動画が投稿されると、停電でインターネットが頻繁に切断されるにもかかわらず、数十万人が視聴する大ヒットとなった。

 曲名の「ブレイヤ・チャラ(Blaya Chara)」はイラクの方言で「逃げ場がない」という意味で、歌詞にはイラクの若者の暴力により荒廃した故郷への思いがつづられている。

「暖をとるすべはない。お金なんて一銭もない。逃げ道なんかないのになんで勉強しなくてはならないんだ」。破壊された建物に座り込み、毛布にくるまったやつれた男性が歌う。人々が「殉教者に正義を」「私たちに権利を」と書かれた紙を掲げている場面もある。

 ミュージックビデオに登場する人々は、ネットフリックス(Netflix)の人気ドラマ「ペーパー・ハウス(Money Heist)」をまねし、赤いつなぎとサルバドール・ダリ(Salvador Dali)の仮面を身に着けている。