■医療従事者の死

 若い世代にも犠牲者が出ている。新型コロナウイルス感染症の拡大に警鐘を鳴らした武漢(Wuhan)の眼科医、李文亮(Li Wenliang)医師(34)が2月上旬に死去している他、20代の医療従事者らも複数命を落としている。これら医療従事者の死をめぐっては、繰り返しウイルスにさらされたことや極度の疲労がその背景にあるとの見方もある。

 事実、ソーシャルネットワークに投稿された複数の動画からは、看護師や医師が患者に対応しきれずパニック状態に陥っている様子も見て取れる。

 香港大学(University of Hong Kong)のジョン・ニコルス(Jonh Nichols)教授(病理学)はAFPの取材に対し、「若い医療従事者は自らの経験および訓練の水準を超えた事態への対処が求められ、そこで感染している可能性がある」と指摘する。

■致死率の推移

 これまでに明らかになっている死者数に基づくと、新型ウイルスによる致死率は3.4%だと推測できる。だが、感染しているにもかかわらず検出されていないケースが、中国ならびに諸外国で最大3分の2に上るとする研究結果が複数あり、これらを考慮すると、感染による致死率はさらに低くなる可能性がある。

 豪メルボルン大学(University of Melbourne)ピーター・ドハーティ感染免疫研究所(Peter Doherty Institute for Infection and Immunity)のシャロン・ルウィン(Sharon Lewin)所長は、「現時点では、実際の致死率はよく分かっていない」「約2%と推定される」と豪テレビで述べている。

 SARSでは、感染者10人にほぼ1人の割合で死者が出た。だが、感染後しばらく経過してから命を落とすケースが目立ったこともあり、当初発表された致死率は過小評価されていたことが後に明らかになっている。

 ただ、2009年に流行したH1N1型インフルエンザでは逆の現象が起こった。ビボー氏は、「アウトブレイクから数週間以内に、その症状が重症肺炎からインフルエンザの一般的な症状に移ったため、致死率は当初の10分の1、そして100分の1にまで下がった」と説明している。

 同氏はまた、現時点で推定されている新型コロナウイルスの致死率について、それが極端に高かったり低かったりすることはないとしながら、おそらく2%を下回ることになるとの考えを示した。

 季節性インフルエンザの平均致死率は約0.1%だが、感染者が多いため、世界の死者数は毎年最大で40万人に上っている。

 CCDCの研究では、確認されているCOVID-19の症例の80%以上について「軽症」だったことが示されている。(c)AFP/Marlowe HOOD