【3月6日 AFP】ミツバチが尻を震わせて餌場となる花畑の位置を互いに教える行為については広く知られている。科学者らは、情報伝達行動の一種であるこの行為を「尻振りダンス」と呼んでいる──。

 このほど、米国の生物学者チームによって1500パターン以上の尻振りダンスの意味が解読された。研究は、危機的状況にあるミツバチの個体数を増やそうと努力する保護団体にハチの餌の好みに関する新たな知見を提供するものとなった。

 米科学誌「プロスワン(PLOS ONE)」に掲載された研究論文の筆頭執筆者で、米ミネソタ大学(University of Minnesota)博士課程の学生であるモーガン・カーマーケル(Morgan Carr-Markell)氏と研究チームは今回、主に次の二つの問いに対して答えを求めた。一つは、ミツバチの2大食料源である花粉と花蜜を得るために働きバチがどのような種類の花を探し求めるのかということと、もう一つは、働きバチの採餌行動が最も活発になる時期がいつかということだ。

■「8」の字形のダンス

 ハチの行動を調べるため、研究チームはガラス張りの観察用巣箱に入れたハチのコロニーを米中西部ミネソタ州内の2か所に設置した。自然保護団体ベルウィンコンサーバンシー(Belwin Conservancy)が所有・管理する保護区とカールトン大学(Carleton College)のカウリング樹木園(Cowling Arboretum)の2か所だ。

 欧州の人々によって開拓される以前のミネソタ州には大草原が広がっていた。しかし現在では、当時の2%足らずしか草原は残っていないという。

 研究チームは2015~17年に、雌バチが巣箱内で行う尻振りダンスを記録した。尻振りダンスは「8」の字形の動きを繰り返し行う。雌バチは「8」の字の中央部を直進する間に尻を震わせるが、この時の体の向きで作る角度が、地平線上の太陽に対する花畑の方向を示している。ミツバチがダンスをする様子は動画で確認することができる。

 それと同時に雌バチは、直線部分で尻を振る時間の長さで花畑までの距離を伝える。この時の1秒間は約750メートルに相当する。

 雌バチが尻振りダンスを繰り返す回数や、8の字形を繰り返し描くのに方向転換する速さなどは、食料源がどの程度有益かに関連していると考えられるという。