【2月29日 AFP】競泳男子、自由形の王者マック・ホートン(Mack Horton、オーストラリア)は29日、8年間の資格停止処分を科された中国の孫楊(Yang Sun、ソン・ヨウ)との対立は、決して個人的なものではなく、常にクリーンな競技を守るためだと主張した。

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 400メートル自由形で金メダルに輝いた2016年のリオデジャネイロ五輪で、孫を「薬物違反者」と呼んだホートンは、昨年韓国で開催された第18回世界水泳選手権(18th FINA World Championships)で同選手との写真撮影や握手を拒み、対立を再燃させて注目を浴びた。

 スポーツ仲裁裁判所(CAS)は28日、孫に対してドーピング検査で検体の提出を拒否した規則違反を認定し、8年間の資格停止処分を科した。五輪で3個の金メダルを獲得するなど中国で崇拝されている孫は、これで大きな打撃を受け、裁定が「不公平」であると主張して提訴する姿勢を明確にした。

 CASの裁定によって、ホートンは一連の抗議行動に根拠が示され、水泳界でも幅広い支持を受ける形となった。その一方で、中国では怒りの声が上がっており、同選手のインスタグラム(Instagram)アカウントへの書き込みには、殺しの脅迫も見られた。

 ホートンは五輪を控えた練習に向かう途中、豪テレビ局チャンネル7(Channel Seven)の取材に応じ、「結果はどうあれ、自分の行為は世界に向けたメッセージであり、クリーンな競技への姿勢を貫いたものだ。決して国とか個人的なものではない」と訴えた。

 また、この結果にほっとしているか聞かれると、「前進していく」と答え、「自分はただ夢を追い求めているだけだ…。今朝もやるべきことがあり、とにかく前に進んでいく」と語った。(c)AFP