【4月20日 AFP】タマネギ形をしたロシア正教会のドームや帝国時代の建造物の近くにある土産物の露店には、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領の顔がずらりと並んでいる。

 プーチン氏が政権の座に就いてから20年。同氏の姿はロシア中のメディアで目にするだけでなく、出身地サンクトペテルブルク(St. Petersburg)の至る所でマグネットやマグカップ、マトリョーシカ人形の絵柄になっている。

 最高司令官として双眼鏡をのぞくプーチン氏や、上半身裸でクマにまたがるプーチン氏など、プーチン氏グッズはあちこちで売られている。

 画家で実業家のアレクセイ・セルギエンコ(Alexei Sergiyenko)氏は数年前からプーチン商品を扱っており、売れ行きは好調だ。2012年には「大統領、良き魂を持つ男」と題し、プーチン氏にささげる作品展まで開いた。

■「特別な感情」

 セルギエンコ氏は、土産物店64店舗のオーナーだ。「プーチン商品は売り上げ全体の3~4%ほどだが、販売数はほぼ一定している」という。セルギエンコ氏が描いたプーチン氏の姿を包装紙に印刷したチョコレートバーは、サンクトペテルブルク中で1個150ルーブル(約220円)で売られている。

 大統領を喜ばせようとする意図がありありとうかがえるこうした画像は、プーチン政権がつくり上げた国民の父親像、あるいは国家の救世主としてのプーチン像をさらに強固にしている。

 20年前、ボリス・エリツィン(Boris Yeltsin)大統領の辞任に伴い政権を掌握したプーチン氏は、今も高い人気を維持している。2014年にクリミア(Crimea)半島をウクライナから併合した際には、支持率は80%近くに跳ね上がった。

 その後、経済の低迷とともに支持率は落ち込んだが、プーチン商品は今も大人気だと土産物業者はいう。

「プーチンは強い指導者だ。そういうところを尊敬している」。プーチン氏が描かれたTシャツを持っているという40代の不動産業者はそう話す。Tシャツは主に外国を旅行する時に着ているという。

 政治をテーマにした商品を専門に扱う土産物会社「チェ・ゲバラ(Che Guevara)」のアレクセイ・イワノフ(Alexei Ivanov)社長は、プーチン商品の成功は同氏自身が持つブランド力の強さにあると話した。「人気の主な理由は有名で認知度が高いことと、ロシア人がプーチン氏に対して持つ特別な感情だ」