【2月27日 AFP】国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ(Rafael Grossi)事務局長は27日までに、東京電力(TEPCO)福島第1原子力発電所から出た放射性物質を含む処理水を海洋など環境中に放出することについて、IAEAとして支援する意向を示した。

 政府の有識者でつくる小委員会は先月、処理水の処分方法について海洋放出か大気中への水蒸気放出が望ましいとの提言をまとめた。ただ、地元などからの反対も根強く、最終的な処分方法の決定には至っていない。

 グロッシ氏は都内で記者会見を開き、海洋放出・水蒸気放出ともに適切だろうとの考えを示した。

 グロッシ氏は「方法や時期の決定は日本政府の問題」とし、「われわれの最終的な分析はまだ終わっていないが、提言は理にかなった方法と体系的取り組みに基づいたものであると言える」と指摘。

 また、放出方法についても「国際的な慣行と一致している」と述べ、「他の場所でも海への放出は行われていて目新しいことではなく、不祥事でもない」と強調した。

 一方で「重要なのは害のない方法で行うことであり、放出の前後および最中に何も問題がないか確認する監視係が必要だ」とくぎを刺した。

 放射性物質を含んだ水は原子炉を冷ますために使われた水、地下水、日々構内に浸入している雨水などさまざまな元から発生しており、大規模なろ過プロセスを通して処理されている。

 水中の放射性物質のほとんどはろ過によって除去されるが、半減期が長いトリチウムは除去されず残ったままとなる。

 この問題は議論を呼んでおり、隣国からは海洋放出の安全性について疑問が呈されているほか、漁業関係者を含む近隣住民からは風評被害の可能性を懸念する声も上がっている。(c)AFP