【2月27日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の選挙陣営は26日、ニューヨーク・タイムズ(New York Times)が掲載したロシア疑惑に関する論説記事で名誉を傷つけられたとして、損害賠償を求める訴えをニューヨーク州の裁判所に起こした。新聞社や伝統的な報道機関を「欠陥だらけ」などとたびたび批判してきたトランプ氏だが、こうした訴訟を起こすのはこれが初めて。

 トランプ氏陣営は訴状で、ニューヨーク・タイムズが2019年3月27日付の紙面に「トランプ―ロシア間の真の交換条件」と題したコラムを載せ、「誤った中傷的な意見を意図的に掲載した」と指摘。

 執筆者のマックス・フランケル(Max Frankel)元編集主幹はコラムにおいて、「トランプ陣営とウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)の間には、選挙をめぐるきめ細かな共謀は不要だった。なぜなら両者には、ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)に対抗するための選挙運動への支援の見返りに新たな親ロシア的な外交政策を、という何よりも大事な取り決めがあったからだ」とつづっている。

 弁護士チャールズ・ハーダー(Charles Harder)氏が署名している訴状の中でトランプ陣営は、ニュース編集室が携わっていない意見記事欄にコラムが掲載されていたことは明確にせずに、「これらの意見を掲載した時、ニューヨーク・タイムズは内容が真実ではないと十分認識していた」と主張。

 また、同紙が「トランプ陣営に対する極端な偏見と敵意」のほか、米大統領選へ「不適切に影響を与えようとする熱意」を持っているため、「誤りであるとともに、読者を誤解させることになると知りつつ、この意見を掲載した」と指摘している。

 ニューヨーク・タイムズの広報担当は訴えを受け、トランプ陣営が「受け入れられないと判断した意見を持つ執筆者を罰するため、訴訟を起こした」と非難した。

 民主党の大統領候補指名争いで現在トップを走る急進左派のバーニー・サンダース(Bernie Sanders)上院議員は、訴訟について「トランプ氏は報道機関を『人民の敵』と呼び、今では報道の自由を解体しようとしている」「もうたくさんだ」とする声明を発表した。(c)AFP