【2月26日 AFP】旧ソビエト連邦最後の元帥で、ソ連崩壊を招いたクーデターの主要人物だったドミトリー・ヤゾフ(Dmitry Yazov)氏が25日、ロシアのモスクワで死去した。95歳だった。

 ヤゾフ氏は1991年のミハイル・ゴルバチョフ(Mikhail Gorbachev)大統領(当時)に対するクーデター未遂のほか、リトアニアの独立派暴動に対する流血を伴う弾圧で中心的役割を果たした。

 それでもヤゾフ氏はロシアで尊敬される存在であり続け、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領やセルゲイ・ショイグ(Sergei Shoigu)国防相から軍の勲章を授与された。

 プーチン大統領はヤゾフ氏の死に深い哀悼の意を表し、同氏は「並外れた勇気と不屈の精神を持った人物」で「その職業的かつ個人的な資質によって確固たる権威と尊厳を得た」と述べた。

 国防省は、ヤゾフ氏が「長期にわたる深刻な病」によって死去したと発表。27日にモスクワ郊外にある連邦軍記念墓地(Federal Military Memorial Cemetery)に埋葬される予定だという。

 旧ソ連時代の1987〜91年に国防相を務めたヤゾフ氏は、1991年8月、当時のゴルバチョフ大統領に対するクーデターの企てに関与。

 同大統領の自由化改革に不満を抱く強硬派の共産主義者らが主導したこのクーデターは失敗に終わり、3日後には首謀者らが逮捕された。しかし、クーデター未遂事件はソ連崩壊の前触れとなり、同年12月にソ連はついに消滅した。

 収監されたヤゾフ氏は1993年に出所し、翌94年に恩赦を受けた。

 ヤゾフ氏は昨年、日刊紙コムソモリスカヤ・プラウダ(Komsomolskaya Pravda)のインタビューで、「国家崩壊の脅威」こそが、自身にゴルバチョフ政権転覆を指示したと語った。(c)AFP/Jonathan BROWN