■干ばつに海水温が関連

 24日に発表された別の研究では、森林火災を破壊的にした条件の一つとされる、豪南東部のマレー・ダーリング川流域(Murray Darling Basin)で数年間続いた干ばつを調査した。

 豪メルボルン大学(University of Melbourne)のアンドリュー・キング(Andrew King)氏と研究チームは、「インド洋ダイポールモード(IOD)」として知られる現象を調査した。IODは豪州や他の地域の降水量に直接的な影響を及ぼす。

 2017年以降、豪州は広範囲で干ばつに見舞われた。今回の研究では、この干ばつの原因について、負のIOD現象の発生が比較的少なかったことにあると考えられた。負のIODでは、インド洋(Indian Ocean)の東部で海面水温が例年より高く、西部で例年より低くなる。

 負のIOD現象は天候パターンを変化させ、通常は豪州南東部により多くの降雨をもたらす傾向があり、世界の海面温度の上昇に伴って発生頻度が低下する。

 キング氏と研究チームは降雨量統計を詳細に調べた結果、2016年の冬に極度の豪雨とそれに対応する負のIOD現象が起きていたことを発見した。

 それ以降、南東部のマレー・ダーリング川流域では12シーズン(3年)にわたって降雨量が平均を下回っている。期間としても1900年以降の観測史上で最長だ。

 西シドニー大のボーア氏は気候変動により、豪州が森林火災が起きやすい国となり得ることはほぼ確実として、森林火災対応策を強化して「気候変動に対して緊急で効果的な対策を取る」ことを豪政府に強く要請している。(c)AFP/Patrick GALEY