【3月1日 東方新報】新型コロナウイルスによる肺炎が中国のスポーツ界に与えるショックは大きい。しかし、同時にこの感染まん延を乗り越えるプロセスで、その強靱(きょうじん)さも見えてきた。

 中国冬季運動会や中国サッカー・スーパーリーグ(Chinese Super League)、中国プロバスケットボールリーグ(CBA)など国内の大型スポーツイベントが次々と延期を表明。冬季五輪のテストゲームや国際テニス連盟(ITF)の試合も、延期になったり開催地を変更したりしている。

 特に東京五輪を控え、中国の代表の調整や予選計画が大きく狂っている。

 卓球の代表チームは、ドイツの公開ゲームの後に帰国し、集中練習に入る予定だったが、直接カタール・ドーハまで飛び、練習と予選を行うことになった。3月の世界卓球選手権(World Table Tennis Championships)の会場の韓国・釜山(Busan)には、ドーハから直接入ることになりそうだ。

 バドミントンの代表チームは、アジア団体選手権を含む多くのゲームに出ることができず、林丹(Lin Dan)らポイントが足りない選手にとっては、五輪への道がますます厳しくなっている。

 柔道女子の金メダリストの冼東妹(Xian Dongmei)は、新型ウイルスの影響で領事館業務の再開が遅れたためにビザ取得が間に合わず、欧州で開催された五輪選考にも関わる選手権2大会に出場できなかった。

 さらにバスケ女子代表、サッカー女子代表は相次いで東京五輪予選をホームで戦うという利点を失ってしまった。サッカー女子の王霜(Wang Shuang)ら4選手は地元・武漢(Wuhan)から外に出ることがかなわず、チーム全体もオーストラリアで隔離され、ホテルから外へ出ることも許されず、選手はホテルの廊下でトレーニングするしかなかった。屋外練習は試合前の1日だけだった。

 しかし、そんな状況の中でも、バスケ女子の中国代表はセルビア・ベオグラードのアウェーの地で、リオデジャネイロ五輪で銀メダルを獲得した世界ランキング第3位のスペインを下し、東京五輪への切符を早々に手に入れた。これは多くの人々が予想できなかった結果で、キャプテンの邵婷(Shao Ting)は「この勝利を通じて、新型肺炎の中にあっても、精神の力で一切の困難を乗り越えることができるという希望を多くの人たちに感染させたい。私たち中国人を打ち負かす困難などないのだから」とコメントした。

 そして、バスケ女子代表の勝利と同じ日、フィギュアスケート・ペアの隋文静(Wenjing Sui)/韓聰(Cong Han)組は四大陸選手権(ISU Four Continents Figure Skating Championships 2020)で6度目の優勝を果たした。

 こうした選手たちの苦境の中の目覚ましい活躍は、中国スポーツ界が数十年来受け継いできた、恐れを知らぬ不屈の精神の強靱さを示した。これからも新型肺炎は中国スポーツ界にマイナス影響を与え続けるだろうが、その試練こそ、中国スポーツ界がさらに発展する契機になるともいえそうだ。(c)東方新報/AFPBB News