新型ウイルス感染からの回復者、恐怖と混乱の日々を回想 中国
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■コウモリの幻覚も
シャオさんは一人で、ホテルに1週間近く滞在。近所の店はすべて閉まっていたため、インスタント麺だけを食べて過ごした。
解熱に効く薬を飲み、オンライン上で診察を受けると、医師からは、上気道感染症を患っている可能性があると言われた。
「非常に動揺してしまった」というシャオさんは、「政府からの支援を受けるために警察を呼ぶべきか考えた」という。だが新型コロナウイルスによる感染症「COVID-19」なのか確信が持てず、断念した。
夜になると、部屋の中を物体が飛び回る幻覚を見るようになったとシャオさんは話す。ある朝には、動物学の科学者らがウイルスの発生源の可能性があるとみているコウモリが1匹、部屋の中に入ってきたのに気付いたという。
そうするうちにホテルも政府によって閉鎖され、シャオさんは友人の家に戻らなければならなくなった。この頃には深刻なせきの症状が出ており、友人も熱を出していた。そうして二人は工場を改修した仮設病院へ向かうことに決めた。
病院でシャオさんは、各種の点滴を受け、抗ウイルス薬や同国の伝統薬を処方される。
2月4日、シャオさんが長らく恐れていた知らせを受けた。新型コロナウイルスへの感染がついに確認されたのだった。
仮設病院の環境は最低限のものにとどまる。当初は個室だったが、病院がより混雑したため「ルームメイト」がやって来た。
シャオさんは、「20日以上風呂に入っていなかった」「タオルすら持っていなかった」と当時を振り返る。
「食べ物からは消毒剤の匂いがして、吐き気がした」「だが武漢の友人たちのことを考えた。彼らは皆、入院するために苦労していた。私はこれ以上文句を言えない」