【2月22日 AFP】新型コロナウイルスの感染拡大でマスク不足が続いている中、香港ではマスクを自分で作る人が現れている。手作りだけではなく、製造ラインを設置した人もいる。

 湾仔(Wanchai)地区で手作りのマスクを着用して買い物をしていたジュディさんという73歳の女性は、「ハンカチと不織布があったので、それらを組み合わせ、あとは上部に付けるワイヤとゴムを使った」とAFPに話した。

 香港経済は低迷しているが、労働階級が暮らす深水ホ(Sham Shui Po)地区の生地の店や仕立屋が多く集まる通りは活況に沸いている。

 絶え間ないミシンの音が聞こえる通りには、狭い店先につり下げられたさまざまな色の布製マスクがずらりと並ぶ。

 仕立て職人のエレース・ウォン(Elase Wong)さんは、自身が考案したマスクの縫い方を人々に無料で教えていると話した。「マスクを買うことができない人もいる。自分で作ることができれば素晴らしい」とウォンさんは言う。

 品薄状態が続き、政府も価格統制や配給に動いていないため、マスクの価格は高騰している。マカオ(Macau)や台湾も同じ状況だ。

 簡素な医療用マスクは、高いもので50枚入りが300香港ドル(約4300円)で売られている。医療用で高性能のN95規格は、1箱1800香港ドル(約2万6000円)ほどで出回っている。

 映画制作者のトンさんは今週、工業ビルの中に設けたマスクの製造ラインの最終調整を行った。

「マスクの価格に衝撃を受けた」とトンさんはAFPに語った。「調べてみると、マスクの製造はそれほど難しくないことが分かった。価格がこれほど高くなるのは、香港に製造ラインがないからだ」

 トンさんは、ある投資家からの支援も受けてインドから製造機械を輸入。さらに多くの機械を取り寄せる予定だ。

 現在はテスト段階だが、クリーンルームに設置した機械で22日から1分当たり60~80枚の医療用マスクを製造できる見通しだ。トンさんによれば、マスクは1枚1~2香港ドル(約14~29円)でネット販売し、購入は1人1箱に限定するという。(c)AFP/Yan Zhao and Katie Forster