2020年は女性芸術家の作品のみ購入、米ボルティモア美術館の決断
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【3月9日 AFP】アートの世界で女性進出を後押ししようと、米メリーランド州にあるボルティモア美術館(Baltimore Museum of Art)が思い切った手段に打って出た。今年1年間は女性作家の作品のみを購入するというものだ。
同美術館は、 フランスの画家アンリ・マティス(Henri Matisse)の作品を世界で最も多く所蔵していることで知られる。だが、2020年は女性作品に限定して購入すると昨年末に発表し、多くのメディアから注目を浴びた。
この計画には賛否両論が沸いているが、クリストファー・ベッドフォード(Christopher Bedford)館長は「難題に毅然(きぜん)と立ち向かうための、2020年にふさわしい根本的な決断だと思う」とAFPに語った。
米国は今年、女性の参政権を認めた合衆国憲法修正第19条の成立から100年を迎える。ボルティモア美術館はこれを、立ち止まって内省する契機としたのだ。
ベッドフォード館長によると、同美術館の収蔵品9万5000点のうち女性作家の作品は4%にすぎない。だが、「この施設は女性がけん引して築かれてきた」のだという。
初代館長は女性だった。美術館の誇るマティス・コレクションの多くは、マティスと親しかったコーン姉妹(Cone Sisters)が集めたものだ。
そこで、ボルティモア美術館は今年、250万ドル(約2億6000万円)を投じて女性作家の作品を収集する。また、館内を改装して女性作品を紹介する展示室を設けるほか、女性作家の作品展を20回余り開催する。ただ、男性作家の作品の寄贈も引き続き歓迎するという。
米国を代表する18の美術館で展示される作品の87%は、男性作家の手掛けたものだとの研究結果が昨年、米科学誌「プロスワン(PLOS ONE)」に掲載された。別の研究では、2008~18年に規模の大きな米美術館26館が購入した作品26万470点のうち、女性作品はわずか11%だったとの結果が示された。
ベッドフォード館長は「この傾向を非難し、意識して対策を見いださない限り、正しく公平な美術館は実現できない」と述べた。(c)AFP/Inès BEL AIBA