【2月20日 AFP】(更新)ドイツ西部ハーナウ(Hanau)で19日夜、極右思想を持っていたとみられる男がシーシャ(水たばこ)バーとカフェを銃撃し、9人が死亡、6人が負傷した。ドイツでは最近、極右に関連した襲撃事件が相次いでおり、アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は人種差別を「毒」と呼び非難した。

 事件が起きたハーナウは、フランクフルトから約20キロの距離にある。男はドイツ人のトビアス・R(Tobias R.)容疑者(43)で、自宅で72歳の母親と共に遺体で発見された。母親を殺害した末に自殺したとみられている。

 事件は午後10時(日本時間20日午前6時)ごろ、ハーナウ中心部のシーシャバーで始まった。報道によると、男は入り口の呼び鈴を鳴らした後、喫煙エリアにいた人々に向け発砲。車で現場から逃走した後、別のカフェを銃撃した。

 検察当局によると、死亡した9人は年齢が21~44歳で、全員が「移民の出自」だったが、一部はドイツ国籍を持っていた。容疑者のウェブサイトに掲載されていた動画や「マニフェスト」からは、容疑者が「非常に深い人種差別的考え」を持っていたことが示されたという。

 トルコ大統領府によると、犠牲者のうち5人はトルコ人だった。死者にはさらにブルガリア人1人とボスニア人1人も含まれる。また、ドイツのクルド人組織によると、犠牲者のうち「数人」がクルド系だった。

 メルケル首相は首都ベルリンで「人種差別は毒、憎悪は毒だ。この毒は私たちの社会に存在し、既にあまりにも多くの犯罪を引き起こしている」と述べた。

 検察当局によると、捜査当局は現在、共犯者がいたかどうかについて調べを進めている。(c)AFP