■「オーダーメードの観点から障害を理解」

 バークさんはそこで終わりにはしなかった。2018年2月のロンドン・ファッションウィークの「バーバリー」のショーで、ヴォーグ英国版のエドワード・エニフル(Edward Enniful)編集長に自身のことを知ってもらおうと、自らアプローチしたのだ。

 その後、英国のヘンリー王子(Prince Harry)の妻メーガン妃(Meghan, Duchess of Sussex)が同誌のゲスト編集者を務めた2019年9月号では、「変化の力」をテーマに、15人の女性の一人として表紙を飾った。しかし、一流デザイナーたちがオーダーメードの服を作ってくれたことは「またとない名誉」となったが、目標は他にあった。「ファッション業界にとってはおなじみのオーダーメードの観点から障害を理解してもらい、誰もが利用できるツールを作ること」だ。

 ファッションショーにおける障害者というアイコン的な枠に収まらず、既存の仕組みそのものを変えるという長期的な目標を抱いているというバークさんは、「大学でマーケティングを勉強している、私のように身長が低い18歳の学生が将来、ヴィクトリア ベッカムやグッチで働けることを理解してもらうため」とその意義について語る。

 そして「最高経営責任者(CEO)やクリエーティブディレクターなどの上層部における変化が最も必要だが、次世代のデザイナーも変わらなくてはならない」とも話した。

 一方、障害がある人々に関する表現や社会での注目度は少しずつ改善されてきているとして、モデルのアーロン・フィリップ(Aaron Philip、18)の例を挙げる。フィリップはトランスジェンダーで黒人、そして障害者のモデルとして初めて大手モデル事務所と契約した。

「世界で最も客を選ぶこの業界」で変革を起こすにはまだまだ長い道のりが待っているとバークさんは言う。とはいえ、楽観もしているようだ。

「私なんて一生教師を続けると思ってたのに。それが今ロンドン・ファッションウィークにいるんですからね!」 (c)AFP/Pauline FROISSART