【2月13日 CNS】「おはようございます。きょうの食事を配達してくれるときに、ケーキも持ってくることはできませんか?」。デリバリー会社で武漢大学中南病院(Zhongnan Hospital of Wuhan University)への食事配送を担当している責任者・李浩潔(Li Haojie)さんの携帯電話に4日朝、特別な注文が入った。

「私たちは新型コロナウイルスの検査と発熱患者の対応に当たっている検査科のチームです。新型肺炎の拡大以降、ずっと病院で働いている看護師がきょう誕生日を迎えるのです」。検査科のスタッフによると、その看護師は父親を最近亡くしたばかり。心身ともに疲れ、誕生日前日の3日に「ケーキを食べたいなあ」とぽつりとつぶやいたという。「彼女のため、何とかケーキを用意できませんか」——スタッフは李さんにそう頼んだ。

 新型肺炎が爆発的に流行して以降、阿里巴巴集団(アリババ・グループ・ホールディング、Alibaba Group Holding)傘下の複数のデリバリー会社は武漢市内の19の病院に一日3回、無料で食事を配送配布している。医療従事者は寝る時以外はウイルスがまんえんする病室や検査室で働いており、感染拡大を防ぐため外出もできない。そのため配達員が彼らと外の世界との「懸け橋」となり、生活必需品の購入も担当していた。

「何としてもケーキを届けてあげよう!」。李さんは仲間とともにすぐ行動を起こし、武漢市内全域でケーキを探した。だが、洋菓子店はことごとく閉店していた。あきらめかけたころ、ある洋菓子店の店主と連絡が取れた。店主は李さんらの願いに即答した。「分かった。すぐ店に行ってケーキを作る。もちろん無料でね」

 4日午後4時、配達員たちはケーキを病院に届けた。スタッフたちは李さんらに「本当にありがとうございます」と感謝のメッセージを送った。奇跡のようなプレゼントをもらった看護師は休憩室で質素に誕生日を祝ってもらい、一つだけ願い事をした。「新型肺炎の流行が終わったら自宅で食事のデリバリーを注文します。そして配達員の方が到着したら大きな声で『ありがとう』と言い、握手をして抱きしめたいです」(c)CNS/JCM/AFPBB News