【2月12日 Xinhua News】新型コロナウイルスによる肺炎の発生以来、日本の関係団体や友好都市から中国への支援物資の箱に記された味わい深い偈語(げご、仏の教えを讃える詩句)や詩句が、多くの中国のネットユーザーの称賛を集めている。

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 例えば中国語検定試験「HSK」の日本事務局が湖北省(Hubei)の大学などに送った支援物資の箱には、「山川異域 風月同天」の8文字が記されていた。京都府舞鶴市が友好都市である遼寧省(Liaoning)大連市(Dalian)に寄付した物資にも「青山一道同雲雨 明月何曽是両郷」の詩句が記されていた。小池百合子(Yuriko Koike)東京都知事も中国に防護服10万着を提供することをメディアに公表した際、「雪中(せっちゅう)に炭を送る」という成語を引用した。

 山東大学(Shandong University)歴史文化学院の馬光(Ma Guang)教授は電話取材に対し、「山川異域 風月同天」は中日の仏教交流史上の故事に由来していると説明。日本の長屋王が中国・唐代の高僧に送った1000着の袈裟(けさ)の縁に「山川異域 風月同天 寄諸仏子 共結来縁」(別の場所に暮らしていても、自然の風物はつながっている。この袈裟を仏弟子に喜捨し、共に来世での縁を結ぼう)と刺しゅうされていた。この偈は『全唐詩』第732巻に「繍袈裟衣縁」という題で収録され、高僧・鑑真を感動させたと伝えられている。

「青山一道同雲雨 明月何曽是両郷」は唐代の詩人王昌齢(Wang Changling)の送別詩「送柴侍御」の一節で、互いに別々の地にあっても「同じ雲や雨の下にあり、同じ月を眺めている」と寄り添い励ます思いが込められている。「雪中に炭を送る」は、人が最も助けを必要としているときに物質的、精神的援助の手を差し伸べることを意味する、中国では誰もが知る成語だ。これらの偈や古詩、成語が話題を呼ぶ現象は、中日両国に似通った文化基盤と、互いに分かり合える歴史的、文化的結び付きがあることを示している。

 馬氏は、中日両国では近年、相手が困難に直面したときに一貫して民間の友好親善パワーが支援の手を差し伸べ、力の及ぶ限りの援助をしてきたと振り返り、「こうした友好交流は評価され、守られるべきものだ」と語った。(c)Xinhua News/AFPBB News