【2月12日 AFP】パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス(Mahmud Abbas)議長は11日、国連安全保障理事会(UN Security Council)に対し、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が発表した中東和平案の拒否を呼び掛け、同案がパレスチナの領土の細分化を招き、和平の持続をもたらすことは決してないと非難した。

 アッバス議長はトランプ氏が提示した将来のパレスチナを示す地図を掲げながら、同和平案を「(穴だらけの)スイスチーズ」と一蹴。パレスチナ側に与えられるのは空海域や東エルサレム(East Jerusalem)の管理権のない「細分化された国家」にすぎないと批判した。

 アッバス議長は、イスラエルが併合を進める場合「アパルトヘイト」状態を生み出すと警告。安保理で「あなた方の中に、このような国家を受け入れる人はいるだろうか?」と問い掛けた。

 さらに「ドナルド・トランプ氏には、あなたの案では国際的な正統性が無くなるため、和平と安全が達成されることはあり得ないと伝えたい」と言明。「これはパレスチナ人のすべての権利を無効とする。二国家共存による解決との目標も満たさない」とし、「和平を押し付ければ和平は持続しない、持続できない」との見解を示した。

 トランプ氏の和平案をめぐり、パレスチナは国際社会に同案の拒否で支持を呼び掛けたが、同案を非難する決議案を採決する計画は見送った。外交筋によると、米国は財政的な影響の脅威に触れるなどして安保理の各国に強い圧力を加えており、非難決議の採決をめぐっては欧州の一部の国でさえ消極的だったという。(c)AFP/Philippe RATER