【2月10日 AFP】タイで男が立てこもり、銃を乱射したショッピングモール「ターミナル21(Terminal 21)」の4階女子トイレでは、男が入ってこないように買い物客たちが個室から外したドアで入り口をふさぎ、施設外にいる友人たちから送られてくる断片的な防犯カメラの画像から男の動きを追った。

 数十人と一緒にトイレにバリケードをつくって身を潜めていた音楽教師のチャナティップ・ソムサクン(Chanathip Somsakul)さん(33)は妻と共に必死になってソーシャルメディアに流れる情報を追い、友人と家族に助けを求める電話をかけた。

 タイで前例のない大量殺人事件に居合わせたチャナティップさん夫婦の娘(3)は、トイレの壁に付けられた棚に用心深く座った。

 9日にAFPの取材に応じたチャナティップさんは、事件が起きた「ショッピングモールで働いている友人が防犯カメラの管理室にいる人に話をつけ、この人が犯人の居場所の最新情報を教えてくれた」と話した。

 メッセージアプリで共有されたこうした詳細な情報が、チャナティップさんとその家族、そしてトイレにいた20~30人の命を救ったのかもしれない。

 防犯カメラの映像には、ヘルメットと戦闘装備を身に着けた銃乱射犯、軍の上級曹長ジャカパン・トンマ(Jakrapanth Thomma)容疑者が、機関銃を肩に掛けてショッピングモール内を闊歩(かっぽ)する様子が映っていた。