■自分の物語を取り戻す

 ルイ氏は敬愛するドイツの演出家で、ベルリンのシャウビューネ(Schaubuehne)劇場を率いるトーマス・オスターマイアー(Thomas Ostermeier)氏に誘われ参加を決めたと語った。オスターマイアー氏はこの劇の演出を務めている。

 オスターマイアー氏は常に社会の仕組みを非難するために、自分の劇場を使ってきたと、ルイ氏は指摘する。ルイ氏自身も性暴力だけではなく、人種差別や同性愛嫌悪の問題を取り上げる手段として小説を使ってきた。

「警察の調書を読んだ時、自分自身の経験だと思えなかった」ため、自分自身の物語を「取り戻す」ために本を書くようになったという。

 本の中でルイ氏は、姉を通して被害の詳細を語り、姉の夫に何が起こったかを伝えている。だが劇では、犠牲者やその家族、警察、加害者らの言葉を通して犯罪を描いた。

 劇は、自分以外の人々が何が起こったか話しているのを、エキストラのように舞台に立つルイ氏が見ている場面から始まる。

「特に性暴力については、誰かに話した途端に誰もが自分なりの話につくり変えてしまう」とルイ氏は語る。自分の話を信じようとしない人々と何らかの下心を持っている人々との間で性暴力の話は、「自分の物語なのに、自分は登場人物の中で最も重要ではない人物になってしまう」という。

 ルイ氏は台本の書き直しに何週間も費やした。だが、オスターマイアー氏ができるだけ「非常に忠実に」したがった、最も困難ともいえるレイプそのものの場面からは逃げ出した。

 米国では見るに堪えず、途中で席を立つ人もいた。

「劇場は、物事を揺さぶる場所であるべきだ」とルイ氏は主張する。「単なるブルジョア的娯楽には全く興味がない」

 ルイ氏はこの劇が、性暴力の被害者が自らの経験を話すきっかけになればと語る。「私が『私』という言葉を使う時、他の人も同じように話せるよう勇気づけている」。同じように自分の物語を語れるようにと。

「暴力の歴史」の公演はパリのアベス劇場(Theatre des Abbesses)で2月15日まで。(c)AFP/Aurelie MAYEMBO