【2月8日 AFP】欧州連合(EU)のジョセップ・ボレル(Josep Borrell)外交安全保障上級代表(外相)が7日、若い環境活動家たちの純粋さに疑問を投げ掛け、「グレタ症候群」に掛かっていると冗談めかして皮肉ったことに対し、環境デモに参加する学生たちや政治家から非難の声が上がっている。

 ボレル外相は5日、欧州議会(European Parliament)で開かれた会議で、デモに参加する学生たちは、カーボンニュートラル(炭素排出量実質ゼロの状態)の未来を保証するために負担しなければならない費用を十分に理解しないまま、スウェーデンの高校生環境活動家グレタ・トゥンベリ(Greta Thunberg)さんにあおられているのではないかと発言。「『グレタ症候群』とでも言うべき」状態にあると指摘し、波紋を呼んだ。

 ソーシャルメディア上で拡散された映像によるとボレル氏は、「自分に費用の負担を求められない限りは、外に出て気候変動に対して抗議するのはとても良いものだ」として、グレタさんが始めた地球温暖化対策を求める運動「フライデーズ・フォー・フューチャー(Fridays For Future、未来のための金曜日)」に参加するために学校を休む学生たちには、「これらの対策で自分たちに何を強いられるのか、そして自分たちの生活水準を下げても構わないとちゃんと認識しているのか」は「疑わしい」と述べていた。

 ベルギー・ブリュッセルでは7日、気候変動への対策を求めるデモが行われ、数百人が参加。デモの指導者、アヌーナ・デウェーフェル(Anuna De Wever)さん(18)は同日、ボレル氏の発言を強く非難。AFPに対し、「実現するのが不可能だと代表が言うのは、完全にばかげている。代表は、実現が不可能ではないこと、そして実際に気候変動の危機を解決しなければ人類が滅亡してしまうため、他に手段はないことを知っているからだ」と話した。

 さらに、二酸化炭素の排出量を削減するために社会の制度を改革するには費用がかさむことを認めた上で、自分たちの世代はそのことを十分に理解していると主張した。

 欧州議会で環境保護を訴える会派、緑の党・欧州自由連盟(Greens-EFA)も、ボレル氏を批判。ツイッター(Twitter)で、ボレル氏の発言は「EU代表者として受け入れられない」と指摘した。(c)AFP/Marc BURLEIGH