【2月6日 AFP】米首都ワシントンを訪問しているケニアのウフル・ケニヤッタ(Uhuru Kenyatta)大統領は5日、域外の大国の競争でアフリカ大陸内部の分断が激化しつつあると警告し、アフリカ諸国が米中いずれの国とも自由に協力できるのが望ましいと述べた。

 米シンクタンク「大西洋評議会(Atlantic Council)」を訪れたケニヤッタ氏は、アフリカ諸国が米国かソビエト連邦を選ばなければならなかった冷戦(Cold War)時代のような状況に戻るのではないかと「非常に懸念している」と述べた。

 ケニヤッタ氏は「西側諸国、および西側諸国に伍(ご)しているアジアと中東の国々は、アフリカをめぐって再び競争を始めている。アフリカ内の対立を利用しようとしたり、自分たちの代理勢力をつくろうとしたりして、まるでアフリカなど自分たちの好きなようにできるというように振る舞っている」と述べ、「しかし、そんなことはないと言っておきたい」と付け加えた。

 中国の経済圏構想「一帯一路(Belt and Road)」のもと、中国は世界各地で巨額のインフラ事業に投資している。ケニアの首都ナイロビと港湾都市モンバサ(Mombasa)を結ぶ鉄道整備もその一つだ。

 一方で米国は、そういったインフラの多くは中国の労働力で建設されており、返済不可能な巨額の対中債務を背負わされる恐れがあるとして、発展途上国に警戒を促す呼び掛けを以前にも増して強めている。米国は、アフリカ諸国との間では初となる自由貿易協定を、ケニアと結びたい意向なのではないかという臆測もある。

 中国に対する批判について質問されたケニヤッタ氏は、「われわれは選択を強要されたくない。あらゆる人々と協力したいし、あらゆる人に機会があると信じている」と述べ、「確かに米国は特定の分野で極めて優れているが、中国もわずか7日で病院を建てた」と指摘した。(c)AFP/Shaun TANDON / Chris STEIN