【2月11日 東方新報】中国・安徽省(Anhui)の黄山(Huangshan)風景区で1月26日夜、大雪予報が発令され、地元では有名な古木で国宝に指定されている「迎客の松」をはじめとする古木・名木保護の措置が取られた。管理当局はパトロールを開始、定時監察をしながら古木の雪を振るい落とし、重みによる負担を和らげた。そして、この黄山の古木を守る任務の中でも、「迎客の松」を守ることは専任の「松守り」が担当している。

【写真特集】いつか行ってみたい! 中国の自然景観

 冬季の氷雪は、黄山の風情に趣を加える一方、古木にとっては大きな損傷を与えかねない厄介な存在。黄山風景区では冬に入る前から、氷雪の影響をどう防ぐか対策が練られた。

 黄山には「迎客の松」のほかに、「臥竜の松」「探海の松」「霊芝の松」といった名木があり、いずれもガラス繊維のワイヤや支柱で丁寧に支えられている。同時に天候の変化にも注意が払われ、天気予報に基づいて、技術員が状況に応じた保護のやり方をチームに指導しているという。

 第19代「松守り」の胡暁春(Hu Xiaochun)さんは、2016年に「全国観光システム勤労模範」、2019年には「全国五一労働奨章」を獲得した優秀な「松守り」。2010年7月の着任以来、海抜1600メートルの山麓で日夜、「迎客の松」を守っている。

「松守り」は1981年から続く、黄山風景区園林部門が選出する特殊専門職。2008年の南方豪雪や2012年の台風11号などの自然災害からも守り続けてきた。「迎客の松」が開花する時期、木や枝の成長量などを観察し「迎客の松日記」を書くほか、雷や大雨、冬の氷雪からこの名木を守るために24時間体制を敷いている。胡さんによれば、枝一本一本は支えるポイントや力加減が違い、この任務は植物学や力学、土木学といったさまざまな知識が必要だという。

 近年、黄山風景区は古木・名木保護にも先進的な科学装置や監視システムを導入しており、こうした新技術を絶えず学ぶことも胡さんの仕事の一部だ。

「迎客の松」は「黄山を見ずして山を見たという言うなかれ」とうたわれ、1990年に国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界文化遺産リスト入りした中国景勝地・黄山を形成する国家一級保護名木。海抜1680メートルの黄山玉屏楼風景区に生え、高さ10.2メートル、樹齢1000年、約12メートルに広がる長い枝は、黄山にたどり着いた登山客を優しく迎えるような趣がある。 (c)東方新報/AFPBB News