■自身が傷ついているから、他者を傷つける

 男性のためのワークショップや定期的なプログラムを提供するこうしたサポートグループは、エブリマン以外にも、「フント(Junto)」や「マンカインド・プロジェクト(ManKind Project)」など数多く存在する。

 こうしたグループが掲げるコンセプトは、決して新しいものではない。しかし、エブリマンの立ち上げに加わったオーウェン・マーカス(Owen Marcus)氏は、20年前だったら、これほど注目されることはなかっただろうと話す。

 マーカスさんは、「(今の)若い男性らは、こうした考えにもっとオープン」だと話し、参加することに対してあまり抵抗がないと説明する。

 エブリマンは2016年に設立された。これは2017年後半に米ハリウッド(Hollywood)の大物プロデューサーだったハーヴェイ・ワインスタイン(Harvey Weinstein)のスキャンダルに端を発したセクハラ告発運動「#MeToo(私も)」よりもその時期は早い。

 共同設立者のダン・ドティ(Dan Doty)氏によると、その目的は「有害な男らしさ」に直接対処するものではないが本質はそう遠くないと語る。

 同氏は、男性らの置かれた状況を理解するだけで相手を非難する必要などはないとしながら、男性は自身が傷ついているから他者を傷つけるのだと指摘する。

 この考えについてはザゴン氏も、「(自身の)傷としっかりと向き合い、それを受け止めて、より健全な方法で対処できる男性は他人を傷つけることはない」「それこそがここで教えているスキルだ」と説明した。

 合宿や1週間の遠征プログラムのほか、エブリマンでは地元のサポートグループ同士で交流する機会を年間を通して定期的に設けている。これについては、単発のイベントと同等に重要と位置付けているという。

 一方、提供するサービスについては、療法士によるセラピーセッションの代わりとなるものではないとも念を押す。事実、参加者の多くは、セラピーとエブリマンのサービスを両方利用しているという。

 これまでに数えきれないほどの男性を支援してきたというエブリマンは、今後もさらに多くに支援の手を差し伸べたいとしている。共同設立者のサシャ・ルイス(Sascha Lewis)氏は、「100万人に関わってほしい。今、米国で起きているムーブメントを感じられるだろう」と話した。(c)AFP/ Thomas URBAIN