【2月4日 AFP】英ロンドンで2日、仮釈放中だった過激派の男が通行人を刃物で襲い、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が犯行声明を出したことを受けて、英政府は3日、テロ事件の受刑者に対する仮釈放制度を早急に見直す方針を示した。

 ロバート・バックランド(Robert Buckland)司法相は議会で、刑期の半分の服役を終えたテロ事件の受刑者は自動的に仮釈放されるという現行の規定を、「緊急立法」によって見直すと表明。仮釈放の可否は仮釈放審査委員会がリスクを評価した上で決めるようにし、新規定は現在服役中の受刑者から適用するという方針を示した。

 またバックランド司法相は、「受刑者が仮釈放の検討対象になるのは早くて刑期の3分の2の服役を終えた後とする」とも述べた。

 2日の事件では、偽の自爆用ベストを着用したスデシュ・アマン(Sudesh Amman)容疑者が、ロンドン南部ストリーサム(Streatham)の混雑した路上で40代男性と50代女性の通行人2人を刃物で刺して負傷させた後、警官らに射殺された。男性は病院で治療を受けているが命に別条はなく、女性はすでに退院した。この他に20代の女性が発砲によって割れたガラスによるとみられる軽傷を負い、手当てを受けた。

 IS傘下のプロパガンダ組織は、「ISの戦闘員」であるアマン容疑者が、ISと戦う国際有志連合に所属する国々の国民を狙えという呼び掛けに応じて襲撃したものだと主張した。

 バックランド司法相によれば、アマン容疑者はテロリストに関する文書を保管・配布した16の罪で有罪となり、刑期の一部の服役を終えて先週仮釈放されていた。

 今回の事件のわずか2か月前の昨年11月末には、テロの罪で服役し仮釈放中だったウスマン・カーン(Usman Khan)容疑者が、犯罪者の社会復帰プログラムのイベント会場で2人を刺殺した後、ロンドン中心部にあるロンドン橋(London Bridge)で警察に射殺される事件が起きていた。(c)AFP/Robin MILLARD