【2月4日 AFP】世界フィギュアスケート選手権(ISU World Figure Skating Championships)銅メダリストのサラ・アビトボル(Sarah Abitbol)さんが、10代の頃に元コーチから性的虐待を受けていたことを告発した問題で、フランスのスポーツ相は3日、同国アイススポーツ連盟(FFSG)会長に辞任を求めた。会長も「ミス」を認めるなど、フランスフィギュアスケート界における性暴力の問題は深刻化している。

 2000年の世界選手権でペアの銅メダルに輝いたアビトボルさんは、先月に出版された本の中で、15歳から17歳だった頃に元コーチのジル・ベイヤー(Gilles Beyer)氏からレイプと性的虐待の被害を受けていたと告発。これを受け、FFSGのチームディレクターも務めていたベイヤー氏は先週、アビトボルさんとの「不適切」で「親密な」関係を認めた。

 元水泳選手のロクサナ・マラシネアヌ(Roxana Maracineanu)スポーツ相は3日、FFSGのディディエ・ガイアゲ(Didier Gailhaguet)会長と会談し、同会長が責任の一端を担わなければならないと述べた。

 マラシネアヌ・スポーツ相は「事実の重みや長期にわたり続いていたことは、連盟内部に全体的な機能不全が存在していることを示している」「ディディエ・ガイアゲ会長は、自身の持つ道徳的かつ個人的な責任から逃れることはできない。そのため、すべての責任を取って辞任するよう彼に求めた」とコメントした。

 また、「刑事捜査が行われるよう」この件を検察当局に送致すると明かした同相は、FFSGの連盟資格を剥奪すると迫ったほか、「被害者団体」の設立に協力することを約束した。

 一方、スポーツ省を後にする際、辞任を問われたガイアゲ会長は「全部これから考える」と返答。連盟幹部による会合を「あす(4日)の午後」に開くと明かしたが、「私はミスを犯したが、罪は犯していない」と全面的な謝罪はしなかった。

 マラシネアヌ・スポーツ相は、すでに不適切な行為が疑われていたベイヤー氏をなぜもっと早く解雇しなかったのか詰問したが、ガイアゲ会長は同相が「耳を傾けず、とりわけ私の話を聞かなかった」と不満を口にしている。(c)AFP