【1月30日 AFP】2000年の世界フィギュアスケート選手権(ISU World Figure Skating Championships)ペアで銅メダルを獲得したフランスのサラ・アビトボル(Sarah Abitbol)さんが29日、15歳から17歳だった頃にコーチから性的虐待を受けていたことを告発した。フランスでは、スポーツ界にまん延する性暴力が次々と明るみに出ている。

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 29日に発売された書籍と雑誌ロプス(L'Obs)のインタビューでアビトボルさんは、1990年から1992年にかけて性的虐待を受けていたとして、元コーチのジル・ベイヤー(Gilles Beyer)氏を糾弾した。

 現在44歳のアビトボルさんは「彼(ベイヤー氏)には性的虐待を受ける前から恐ろしいことをされ、15歳の時にレイプされた」「男の人に触られたのは、その時が初めてだった」とインタビューで話した。

 国内選手権で10度の優勝を誇るアビトボルさんは引退後、当時のスポーツ相だったジャンフランソワ・ラムール(Jean-Francois Lamour)氏にベイヤー氏の行為について伝えたというが、ラムール氏は「われわれは彼の情報を持っているが目を背けるつもりだ」と答えたとされている。同氏はロプスに対し、この会話の記憶はないと話したという。

 また同日には仏スポーツ日刊紙レキップ(L'Equipe)が、スケート界、競泳界、テニス界における性的虐待について詳細な記事を掲載。その中で、指導者のベイヤー氏、ジャンロラン・ラクレ(Jean-Roland Racle)氏、ミシェル・ロッツ(Michel Lotz)氏から10代の頃に性的虐待やレイプを受けたことを告発する元スケーターの3人を特集した。

 そのうちの一人のエレーヌ・ゴダール(Helene Godard)さんは、未成年の時にベイヤー氏とラクレ氏から性的虐待を受けたと主張している。名指しされた3コーチは、記事を否定もしくはコメント拒否の対応をとっている。

 現役時代の1978年にフランス選手権で優勝したベイヤー氏は、その後フランスチームのディレクターや代表コーチとしてキャリアを築いたが、レキップによると、同氏は過去にスポーツ省から2度にわたり調査を受けたという。

 2度目の調査対象となった時点で、スポーツ省はベイヤー氏とのテクニカルアドバイザーの契約を打ち切ったが、同氏は連盟とは近い立場にとどまった。フランス・アイススポーツ連盟(FFSG)のディディエ・ガイアゲ(Didier Gailhaguet)会長はAFPの取材に対し、コメントを拒否している。

 フランスでは先週、テニスコーチのアンドリュー・ゲデス(Andrew Geddes)氏が、未成年の選手4人をレイプしたとして禁錮18年を言い渡されていた。(c)AFP