【2月2日 AFP】ロシアで2018年に性的虐待や暴行を長年繰り返した父親を殺害した3姉妹をめぐり、同国の検察当局が、事件として取り扱うことをやめるよう求めていたことが分かった。姉妹の弁護団が1月31日に明らかにした。

 長女のクリスティーナ・ハチャトゥリャン(Krestina Khachaturyan)容疑者、次女のアンゲリーナ(Angelina Khachaturyan)容疑者、三女のマリア(Maria Khachaturyan)容疑者は2018年7月、モスクワ市内の自宅で父親のミハイル(Mikhail Khachaturyan)さんを刺殺。

 ミハイルさんは、事件当時それぞれ19歳、18歳、17歳だった3姉妹をレイプしたり、虐待したりした他、学校へ行くのを妨げたという。

 今回の事件は、姉妹たちの凄惨(せいさん)な生涯の詳細が明るみに出たことで注目を集め、姉妹を支持する激しい抗議デモが繰り広げられた。

 重大犯罪の捜査を担当する連邦捜査委員会(Investigative Committee)は先月、クリスティーナ容疑者とアンゲリーナ容疑者を計画的殺人の罪で起訴するよう勧告すると発表。姉妹が父親を刃物やハンマーを使って父親を攻撃したことが捜査で立証されたとしていた。有罪となった場合、最大で禁錮20年が言い渡される可能性があった。

 またマリア容疑者については、精神障害があるため刑務所に収監するのではなく、厳重に警備された精神科施設に収容すると判断していた。

 だが姉妹の弁護人らは1月31日、検察当局が事件として取り扱うことをやめるよう命じたと明らかにした。

 弁護人を務めるアレクセイ・パルシン(Alexei Parshin)氏はAFPに対し、「ハチャトゥリャン3姉妹の事件は終結する」と話し、検察当局が連邦捜査委員会に事件性はないとするように求めたと明かした。父親の「意図的」な虐待を捜査当局が考慮しなかったとして、次長検事が「起訴の是認を拒否」したという。

 3姉妹が受けてきた凄惨な虐待が明らかになったことで事件は大きな注目を集め、姉妹を支援する集会が行われていた。

 弁護人や活動家らは、姉妹が自分たちの命を守るため、父親の殺害を余儀なくされたと主張し、ドメスティックバイオレンス(DV)の被害者に対する国内での法的保護が不十分であると指摘していた。

 活動家らは、ロシアの市民社会にとって大きな勝利であり、他の女性たちの助けになる法律上の先例になるとの見方を示している。(c)AFP