【2月2日 AFP】スイス・ダボス(Davos)で先月開かれた世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)に出席したスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリ(Greta Thunberg)さん(17)ら若い環境活動家らの写真を、ウガンダの女性活動家の姿が完全に見えなくなるようにトリミングした上で米AP通信(Associated Press)が配信した問題を受けて、トゥンベリさんらが1月31日、記者会見を開き、環境問題でアフリカからの声を聞くことの重要性を訴えた。

 写真から消されていたのはウガンダのバネッサ・ナカテ(Vanessa Nakate)さん(23)。この写真に写っていた唯一の黒人だった。ナカテさんは自分の姿が切り捨てられたのは「人種差別」だと厳しく批判していた。

 この件を受けてダボス会議で行われた人種差別をめぐる討論は大きな注目を集めた。AP通信は、同社のフォトグラファーが構図を整える目的で行ったものだと釈明したが、後に「大変な誤り」だったとして謝罪した。

 31日の記者会見が開かれた環境保護団体グリーンピース(Greenpeace)のスウェーデン事務所にはトゥンベリさんが直接姿をみせた他、ナカテさんがウガンダの首都カンパラからビデオ通話で参加。南アフリカのアヤカ・メリタファ(Ayakha Melithafa)さんとヌドニ・ムクヌ(Ndoni Mcunu)さん、ケニアのマケナ・ムガイ(Makenna Muigai)さんもそれぞれビデオ通話を通じて参加し、約1時間にわたって報道陣の質問に答えた。

 ナカテさんは、写真から自分の姿が消されたことについては「とても不満を感じる瞬間だった」ということ以外には話したくないと語り、「今こそ世界はアフリカの活動家たちの話に耳を傾けるべき時だ」と主張した。

 アフリカ大陸には世界の4分の1以上の国があり世界人口の17%が暮らしている一方、温室効果ガスは世界全体の約5%しか排出しておらず、アフリカが気候変動で非難されることは比較的少ない。

 南アフリカ・ヨハネスブルクにあるウィトウォーターズランド大学(University of the Witwatersrand)の博士課程に在籍するムクヌさんは、アフリカが気候変動で「最も影響を受けている」と指摘。「こうした変動によって2000万人近くが大陸から避難」し、大規模な干ばつによって「5200万人近くが食糧不安に陥っている」と述べた。

 ナカテさんは「気候変動でアフリカ諸国が直面する最大のリスクは食糧不足と水不足だ」と述べ、こうした脅威に立ち向かうためには活動家の声を届けなければならないと訴えた。

 トゥンベリさんは、「私が何か言えばそれが見出しになるが、他の人の場合そうはならない。メディアの報道量は、取り上げられる人によって異なっている」  と述べ、メディアの関心が自身に集中してしまっており、アフリカの視点からの報道が少なすぎると批判した。(c)AFP/Gaël BRANCHEREAU