【2月2日 AFP】イラクのバルハム・サレハ(Barham Saleh)大統領は1日、11時間に及んだ政党間の合意形成を経て、新首相にムハンマド・アラウィ(Mohammad Allawi)元通信相を指名した。ただ、任命をめぐり世論は賛否が分かれている。

 首都バグダッド(Baghdad)とイスラム教シーア派(Shiite)が多数派を占める南部では、反政府デモが4か月にわたって続いており、総選挙の前倒し実施や、政治的に独立した首相の指名、汚職やデモ絡みの暴力行為に関する説明責任を要求している。

 アデル・アブドルマハディ(Adel Abdel Mahdi)前首相は昨年11月に辞意を表明したものの、後任をめぐって政党間の調整が進んでいなかった。

 指名の遅れに業を煮やしたサレハ氏は一段の情勢悪化を警戒し、各党派に1日までに新首相の人選を行うよう指示。党派間の緊急協議により、アラウィ氏指名で合意にこぎつけた。
 
 この日の夕方、アラウィ氏は国民に向けて国営テレビで演説し、民意に基づく政権づくりや、議会選挙の早期実施、デモ絡みの暴力行為を裁くことを確約。反政府デモの主な要求に応える姿勢を示した。

 昨年10月以来、反政府デモと治安部隊との衝突による死者は480人を超え、負傷者は3万人近くに上っているものの、その罪に問われたものはほとんどいない。新首相指名の発表直後、バグダッド市内でデモの中心地となっているタハリール広場(Tahrir Square)では、大勢の参加者の間から「アラウィ氏は受け入れられない」とのシュプレヒコールが起こった。

 また、シーア派の聖地である中部ナジャフ(Najaf)の街頭デモでは、反政府デモが要求してきた独立してきた首相にアラウィ氏は該当しないとして、参加者らが抗議活動を拡大していく姿勢を表明した。(c)AFP/Ammar Karim