【1月31日 AFP】2019年の競馬、凱旋門賞(98th Prix de l'Arc de Triomphe、芝2400メートル)でヴァルトガイスト(Waldgeist)に騎乗して優勝したピエールシャルル・ブドー(Pierre-Charles Boudot)騎手が30日、性的暴行の疑いで被害者とともに事情聴取を受けた。

 世界屈指の騎手の一人として知られる27歳のブドー騎手は、2018年10月に起こされていたレイプ訴訟に関連して捜査対象となっている。訴えによると、被害を受けた女性は2015年に同騎手に薬を盛られて性的暴行を受けたとされている。

 二人が仏パリ北部シャンティイ(Chantilly)の警察署で聴取を受けることになったのは、この事件の捜査を主導しているパリ郊外の町サンリス(Senlis)の裁判官の命令だと関係者が明かしている。

 アマチュア騎手で、馬の生産者を父に持つこの女性は、ドービル(Deauville)で開かれたレース期間中の2015年8月18日から19日にかけて、レイプ被害に遭ったと主張。被害者の担当弁護士はAFPの取材に対して、女性が「訴訟に踏み切ったのは、自分を癒やすためと他の人を守るため」であり、「他の被害者も名乗り出るかもしれない」と続けた。

 これまで疑惑を否定しているブドー騎手の担当弁護士は、自身の顧客が「恋愛問題で逆恨みを受けている」と話し、「非難されるようなことは何もしていない」として自発的に出頭して聴取に臨んだと強調した。同騎手の聴取は、身柄を拘束された上でのことではない。

 被害者は事件当日の夜にナイトクラブで、それまでの数か月誘いを断っていたブドー騎手と出くわし、「ピエールシャルル・ブドーの友人からグラス1杯のシャンパンを勧められて飲んだ」「意識がもうろうとした」とすると、そのあと同騎手の自宅でレイプされたと供述。「何が起きたのか悟ったけれど、まるで人ごとのようにその場を見つめていた」と振り返った。

 女性は事件によって体調や人間関係に支障をきたし、「1年半から2年ほど拒み続けた後」に関係者や精神科医に相談することに決めたという。

 ブドー騎手は凱旋門賞のタイトルに加え、2015年と2016年にはフランスで年間最多勝を記録。2016年には年間300勝をマークして欧州記録を塗り替えた。(c)AFP