【1月31日 CNS】中国・武漢市(Wuhan)で新型コロナウイルスの感染による肺炎が流行して以降、中国で野生動物を捕食している状況は、社会から一層の注目を集めている。森林公安局によると、毎年、野生動物の不法な捕獲や輸送、売買などが数十件あり、犯罪者の多くは不法なビジネスチェーンに加担し、大量の「ジビエ料理」が食卓に上っている。

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 江西省(Jiangxi)森林公安局は2018年7月、史上最大の野生動物販売事件を摘発。1万7000匹を超えるホエジカ、ガショウ(シカ科の哺乳類)などの省級・国家級保護動物が捕獲・販売され、その販売網は中国の15の省にまたがった。

■武漢も「ジビエ」の重要な市場

 中国疾病抑制センターは先ごろ、武漢華南海鮮市場に大量の新型コロナウイルスが存在していることを突き止めた。

 武漢華南海鮮市場は、名目上は海鮮(水産品)の市場だが、その実態は総合市場だ。市場の西区には野生動物の交易ゾーンがあり、特に西区の「七街」と「八街」の内側に面する場所には複数の野生動物を扱う店舗が集まっていて、タケネズミ、ハクビシン、マガモ、ヘビ、ウサギなどを扱っている。

 黒竜江省(Heilongjiang)チチハル市(Qiqihar)では2019年、25人が逮捕される野生鳥類の不法売買が摘発された。犯行場所は黒竜江省と湖北省(Hubei)、武漢市など6の市と県にまたがっていて、武漢市白沙洲(Baishazhou)農副産品市場で取引を行っていたという。

 国家林業局の元責任者は「一部の人には、野生動物には滋養強壮の作用があるという間違った考えがある。単純に珍しいからとか他人に見せびらかしたいからとして食べる人も多い」と分析。さらに「ジビエは希少なもので、野生動物を取り扱う業者にとっては、高利益率の商売であることも誘因となっている」と指摘する。

 今回、中国科学院(Chinese Academy of Sciences)、清華大学(Tsinghua University)、北京大学(Peking University)の19人の学者は連名で、野生動物の不法食用と売買を途絶させ、大本から重大な公共衛生危機を抑制すべきと呼びかけた。専門家は、法律で野生動物の食用と取引の悪習を根絶すべきとしている。(c)CNS-第一財経/JCM/AFPBB News