【1月30日 AFP】世界の平均気温が2度上昇すると、世界のワイン生産地が半減する可能性があるとした研究論文がこのほど、発表された。

 この「2度」というのは、2015年に採択された地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」で掲げられた数値だ。同協定では、産業革命前からの世界の平均気温の上昇を2度未満に抑えることを目標としている。

 米国の専門家らが主導した研究によると、世界の気温が4度上昇した場合では、現在の生産地の85%で高品質のワインが生産できなくなると予想されるという。

 執筆者の一人、米コロンビア大学(Columbia University)ラモントドハティ地球観測研究所(Lamont-Doherty Earth Observatory)および米航空宇宙局(NASA)ゴダード宇宙研究所(Goddard Institute for Space Studies)のベンジャミン・クック(Benjamin Cook)氏は、気候変動が農業に与える影響を知る上で、「ワインは、炭鉱におけるカナリアのような役割を果たす。ブドウはとても気候に敏感だ」と指摘する。

 米科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された論文によると、クック氏らの研究チームは今回、カベルネ・ソービニヨン(Cabernet Sauvignon)、シャルドネ(Chardonnay)、グルナッシュ(Grenache)、メルロー(Merlot)、ソービニヨン・ブラン(Sauvignon Blanc)などのワイン用のブドウ11種について調べた。

 研究チームは、各品種の過去の収穫記録を基に、世界の平均気温が産業革命以前に比べて0度、2度、4度上昇した場合に、ブドウの完熟期がどう変化するかを見る予測モデルを作成した。

 研究の結果、世界の平均気温が2度上昇すると、既存のワイン生産地の56%でワイン用ブドウの栽培が不向きとなる可能性があることが分かった。これは現在と同じ生産方法が続けられた場合の数値だ。

 一方で研究者らは、ワイン用ブドウの品種を寒冷地で育つ品種から温暖な気候を好む品種にかえることで、生産地の縮小を半分ほどに抑えることができるとも指摘している。(c)AFP