【1月28日 AFP】米国のマイク・ポンペオ(Mike Pompeo)国務長官が今週予定している外遊への同行取材から、米公共ラジオNPRの記者が排除された。NPRの別の記者が、ウクライナに対する米トランプ政権の立場についてポンペオ氏に質問して論争になったことへの報復とみられている。

 国務省取材を担当する記者らによる国務省記者協会(State Department Correspondents' Association)は27日、29日の英国訪問から始まるポンペオ氏外遊の同行記者団から、NPRのミシェル・ケレメン(Michele Kelemen)記者が除外されたと報告した。

 国務省記者協会は、同局の別の記者とポンペオ氏が繰り広げた論争の結果、「国務省がNPRに報復したとしか結論のしようがない」とし、この決定に抗議した。

 NPRは先週、ポンペオ氏にインタビューを行ったメアリー・ルイーズ・ケリー(Mary Louise Kelly)記者が、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の弾劾裁判で争点となっているウクライナ疑惑について質問。

 ケリー記者によるとインタビュー後、録音機を持ち込まないことを条件に職員にポンペオ氏の個室に案内されると、待ち受けていたポンペオ氏に「インタビューが行われたのと同じだけの時間にわたって怒鳴りつけられた」という。

 さらにポンペオ氏は側近らに白地図を持って来させ、ケリー記者がウクライナの位置を知っているか試したという。「私がウクライナを指すと、彼は地図を片付けた」とケリー記者は述べている。

 ケリー記者が暴露した一部始終に対し、ポンペオ氏は26日、ケリー記者は二度うそをついたと反論。1度目は「インタビューを仕組んだ時」で、2度目はインタビュー後の「会話」はオフレコが前提だったので本来報道できないはずにもかかわらず公にした時だと非難した。

 ただしポンペオ氏は、ケリー記者が暴露した乱暴な発言をしたことについては否定していない。

 これに対しケリー記者は、インタビュー後の会話はオフレコだと言われなかったし、仮にオフレコにしろと言われても応じなかったと語り、自分がイランとウクライナの両方の問題ついて質問することはポンペオ氏の側近らも分かっていたはずだと述べて反論した。

 AFP特派員で国務省記者協会会長でもあるシャウン・タンドン(Shaun Tandon)記者はNPRのケレメン記者について、20年間にわたる米外交の取材経験をもつ「申し分のないプロフェッショナル」だと評し、「われわれは国務省に対し、ミシェル(ケレメン記者)が長官歴訪の専用機に同乗を許されるよう再考をお願いする」と述べた。(c)AFP