【1月28日 AFP】米プロバスケットボール(NBA)、ロサンゼルス・レイカーズ(Los Angeles Lakers)の元スーパースター、コービー・ブライアント(Kobe Bryant)氏ら9人が亡くなった26日のヘリコプター墜落事故に関して、真っ先に報じたのは今回も米芸能情報サイト「TMZ」だった。

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 セレブに関するスキャンダルやゴシップなどを伝えているTMZは、ありとあらゆる手段を駆使して世界的有名人の死に関するニュースをスクープしており、遺族に伝わるよりも先に死者の詳細情報を報じていることについては、司法当局からも強い非難の声が上がっている。

 ロサンゼルス郡保安局(Los Angeles Sheriff's Department)の保安官は、こうした慣行について「極めて配慮を欠くもの」で「全くもって不適切」と不快感を示し、別の職員もツイッター(Twitter)に、「メディアが報じた時に自分は事実を集めていたというのは悲しい」とつづった。

「スクープしたいのは理解できるが、どうか私たちが亡くなられた人の愛する人々に知らせる時間を与えてほしい」「メディアで死を知るなんて、あまりにもむなしい。胸が張り裂けてしまう」

 今回の事故に関する報道や協定について、TMZはAFPの取材に回答しなかった。しかし、2005年に開設された同ウェブサイトは、これまでも有名人の衝撃的な訃報をいち早く報じている。中でも、米歌手のマイケル・ジャクソン(Michael Jackson)さんをはじめ、ホイットニー・ヒューストン(Whitney Houston)さんやプリンス(Prince)さんが亡くなった際には、どの主要メディアよりも先に詳細な情報を伝えていた。

 また、米俳優メル・ギブソン(Mel Gibson)さんの飲酒運転や反ユダヤ的発言のほか、米人気歌手クリス・ブラウン(Chris Brown)さんが当時の交際相手で歌手のリアーナ(Rihanna)さんに暴行を加えていたこともスクープした。

 専門家はこうした状況になっている理由について、TMZが特にロサンゼルスにおいてニュースの取材記者や情報源の広範囲なネットワークを保持していることだと指摘している。事実かどうかは不明だが、そうした人の中には空港職員やリムジン運転手、さらには裁判所の職員らが含まれているとも報じられており、TMZに極秘情報を不正に流した疑いでロサンゼルスでは警察官や裁判官が職を失っているケースがある。

 ハリウッド(Hollywood)エンターテインメントのジャーナリストで、プロデューサーでもあるサイモン・トンプソン(Simon Thompson)氏は、「今回のコービーのように、エンターテインメント系の速報ニュースに関しては、TMZが実質的にこの街を動かしている」「彼らは至る所に人員を配している」と述べた。(c)AFP/Andrew MARSZAL