【1月27日 AFP】オランダのマルク・ルッテ(Mark Rutte)首相は26日、戦時下のユダヤ人迫害について政府として初めて謝罪した。

 ナチス・ドイツ(Nazi)のアウシュビッツ・ビルケナウ(Auschwitz-Birkenau)強制収容所の解放から27日で75年となるのを前に、オランダ首都アムステルダムでホロコースト(Holocaust、ユダヤ人大量虐殺)犠牲者の追悼行事が行われ、ルッテ氏は「最後の生存者たちが存命の今、私はきょう政府の名において当時の当局者らの行いについて謝罪する」と演説した。

 第2次世界大戦(World War II)前のオランダには約14万人のユダヤ人が暮らしていたが、戦争を生き延びたのはわずか約3万8000人だった。

 政府の公式謝罪をめぐる問題は、ルッテ氏が同じく首相だった2012年にも提起されたが、戦中の政治の行動に関する情報が不十分で、謝罪に対する「十分に幅広い賛同」もないとしていた。

 1995年には同国のベアトリックス女王(Queen Beatrix)が、オランダ人は戦中にユダヤ人を十分助けたと発言していた。

 ルッテ氏は26日の演説で、「われわれの政府機関は正義と安全の守護者として行動しなかった。あまりにも多くの公務員が占領者の命令を実行した」「(ユダヤ人の)リストを作成し、その排除がもたらした悲惨な結果は、これまで適切に評価されてこなかった」と語った。

 さらに「(政府の対応は)概して足りず遅すぎた。保護も援助も、認識も不十分だった」と指摘し、「アウシュビッツから75年たった今も、反ユダヤ主義はわれわれの中に存在する。まさにこれこそが、われわれが起きたことを全面的に認め、声を大にして言う理由だ」と述べた。

 両親ときょうだいを強制収容所で亡くした男性(82)は、公共テレビ局NOSに「戦中にすべてを失った」と語り、謝罪を受け入れるが「75年も待たなければならなかったのは残念だ」と述べた。(c)AFP