【1月25日 AFP】バングラデシュで50年近く行方不明だった男性が、フェイスブック(Facebook)に投稿した治療への支援を求める動画の拡散をきっかけに、家族との再会を果たした。

 家族によると、1972年、当時30歳で実業家だったハビブル・ラーマン(Habibur Rahman)さんは、4人の子どもと北東部シレット(Sylhet)で暮らしていた。しかし、港湾都市チッタゴン(Chittagong)に出張して以降、行方が分からなくなった。

 家族は長年にわたってラーマンさんを捜したが、見つからなかった。しかし、米国在住の孫の妻が今月、フェイスブックに投稿された動画にラーマンさんが映っているのに気付いた。家族のほとんどは現在、国外で暮らしている。

 過去5年間ラーマンさんの世話をしていたラージヤ・ベガム(Rajiya Begum)さんによると、ラーマンさんは放浪者となり、モウルビバザール(Moulvibazar)地区にあるイスラム教神秘主義者スーフィー(Sufi)の寺院で寝泊まりしていた。

 しかしラーマンさんは今月、腕を骨折して地元の病院に入院した。ベガムさんはラーマンさんの手術費を払えなかったため、他の入院患者にラーマンさんの窮状を動画で撮影し、代わりにフェイスブックに投稿するよう頼んだ。

 この動画は他のユーザーに共有、拡散され、少なくとも100万回再生された。

 ラーマンさんの13人の孫の一人、ケファヤト・フセイン(Kefayat Hussain)さん(20)は20日、「彼女(兄弟の妻)からの知らせを受けて、急いで病院に向かい、生きている祖父を発見した」とAFPに語った。ラーマンさんは亡き妻の名前と他の家族の名前を確かめたという。

 シレット在住のフセインさんは、「祖父は最初、私たちのことが分からなかったが、父の年上のいとこを見るとすぐに察した。祖父は赤ちゃんのように泣いた」「祖母や、海外に住むおじたちのことを繰り返し聞いてきた」と述べた。

 家族たちは、ラーマンさんが行方不明になった理由は分からないが、長年心配していたにもかかわらず、ラーマンさんが生きていると分かったことがとにかくうれしいと語った。

 三男でシレット在住のジャラル・ウッディン(Jalal Uddin)さんはラーマンさんが行方不明になった当時、1歳半だった。「父の顔をほとんど覚えていなかったが、48年もの間心を痛めていた」とAFPに語った。

 ウッディンさんによると、親族たちが英国と米国からバングラデシュに空路で駆け付け、再会を果たしたという。(c)AFP