【1月25日 AFP】マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官が、ウクライナに対する米政権の立場について質問した女性記者に激怒する出来事があった。記者が24日、その内容を暴露した。ウクライナは、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の弾劾裁判で争点となっている。

 ポンペオ氏は米公共ラジオNPRの早朝番組のインタビューに応じた。話題は、イランに関することにほぼ終始していたが、メアリー・ルイーズ・ケリー(Mary Louise Kelly)記者は最後にウクライナについて質問した。

 民主党は、トランプ氏が権力を乱用し、今年11月の大統領選で対立候補となる可能性がある民主党のジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領の調査を行うようウクライナ政府に圧力をかけたと非難。トランプ氏の「権力の乱用」をめぐり、現在、上院で弾劾裁判が行われている。

 トランプ氏に近いポンペオ氏も、マリー・ヨバノビッチ(Marie Yovanovitch)前駐ウクライナ大使をかばわなかったとして非難されている。ヨバノビッチ氏は昨年春、トランプ氏の顧問弁護士のルドルフ・ジュリアーニ(Rudy Giuliani)氏らが主導する中傷合戦の標的にされた後、突然解任された。

 ケリー記者はポンペオ氏に対し、「ヨバノビッチ氏に謝罪しなければならないのでは?」と質問。緊迫したやり取りはその後も続き、ポンペオ氏が「国務省の全職員を擁護」してきたと述べたのに対し、ケリー記者は、いつヨバノビッチ氏を公の場で擁護したのかと問いただした。

 ポンペオ氏は、「きょう言おうとしていたことは全て言った。ありがとう」と述べてインタビューを打ち切ったが、話はそこで終わらなかった。ケリー記者は24日夜、その後の出来事についてNPRで明らかにした。

 ケリー記者がお礼を言うと、ポンペオ氏はそれには返事をせずに、にらみつけてから退室。その後、録音機を持ち込まないことを条件に個室に案内された同記者は、待ち受けていたポンペオ氏に「インタビューが行われたのと同じだけの時間にわたって怒鳴りつけられた」という。

 ケリー記者によれば、ポンペオ氏は「ウクライナについて質問されたのを快く思っておらず」「米国人がウクライナのことを気に掛けると思うか」と言いながら口汚くののしり、さらに側近らに白地図を持って来させ、ウクライナの位置を知っているか試したという。「私がウクライナを指すと、彼は地図を片付けた」とケリー記者は述べている。

 ポンペオ氏は過去にも、記者を公然と非難したことがある。(c)AFP