【1月20日 AFP】かつて英ロンドンの労働者階級向け定番料理の素材だったウナギに、これから世界中のダンディーな男たちが群がるようになるかもしれない──フランス・パリで開催中のパリ・メンズ・ファッションウィークで19日、英ブランド「ダンヒル(Dunhill)」がウナギの皮を加工した紳士服コレクションを発表した。

 つるつると滑りやすいウナギの皮を洗練された手法で巧みに加工してコレクションを創り上げたのは、工夫を凝らした服作りに定評のある英国人デザイナー、マーク・ウェストン(Mark Weston)氏。

 つややかな光沢のあるシルクのような素材を用いた黒や赤のコレクションは、きらびやかなロックスターの衣装を思わせる。ウェストン氏は、1980年代のニュー・ロマンチック・ムーブメント(New Romantic Movement)に着想を得たデザインで、英国の老舗ブランドにさっそうとした新たな活力をもたらした。
 
 ショーの後でAFPの取材に応じたウェストン氏によると、ウナギの皮には服飾素材としてうさんくさい点は全くないという。「極上の繊細な素材だ。最初は少し紙のような手触りがあるかもしれない。だが、ダンヒルは皮製品のブランドなので、いろいろ試してみることができた」

「皮に光沢を与えたら、とても美しく自然な発色になった」とウェストン氏は説明。「ウナギは天然素材だ」「世界中の人がウナギを食べているから、(皮は)天然の副産物だ。こんなふうに再利用できて非常にうれしい」と話した。

 突如ファッション界で脚光を浴びることとなったウナギ。批評家やバイヤーは次々と手を差し伸べ、皮の感触を手で確かめていた。(c)AFP/Fiachra GIBBONS