■黄金の三角地帯(Golden Triangle

ソップルアック(Sop Ruak)村: 1キロ地点

 中国北京に住むチャン・ジンジン(Zhang Jingjin)さんら観光客は、「黄金の三角地帯へようこそ」と書かれた看板の前で、ポーズをいろいろと変えながら記念撮影や自撮りを行っている。

 タイ、ミャンマー、ラオスの3か国にまたがる黄金の三角地帯は、かつては紛争と麻薬で知られていたが、今では中国企業の投資先として注目されている。

「もっと船が通るようになったら訪問者が増え、貿易が盛んになり、ビジネスが増える」とチャンさんは言う。

 黄金の三角地帯の浅瀬をしゅんせつすれば500トン級の貨物船でも、雲南から600キロ離れたラオスの古都ルアンプラバン(Luang Prabang)まで行くことができる。

 中国政府は、タイとラオスの両岸に経済特区(SEZ)を設け、マンション、港湾、鉄道、道路を整備する計画を掲げている。経済的に貧しいラオスとカンボジアは中国による多額の投資に懐柔され、ラオスからカンボジアへ向かう流域の多くは既に中国に開かれている。一方、世界第2位のしゅんせつ企業「中国交通建設(CCCC)」による工事計画は、タイ北部の活動家らの抵抗によって延期された。

■湾曲部

チェンセーン(Chiang Sean):10キロ地点

 コム・ウィライ(Kome Wilai)さん(38)と友人らは、流れに沿ってロングテールボートで川を下り、流れの中ほどで網に獲物がかかっているかを確認した。コムさんは、モンスーンの季節の真っただ中に水位が突然下がり、ここ2週間は全然魚が取れないと語った。

「1日2回網を投げるが、何も取れない。中国のダムのせいだ…魚が泳いだり産卵したりできるだけの水がない」

 中国のダムとは、雲南省の景洪(Jinghong)ダムのことだ。中国政府は、石炭の使用を減らす政策の一環で水力発電に力を入れており、国内のメコン川にダムを11基造っている。

 メコン川のうち3分の1が流れるラオスも、支流にダムを多数建設する計画だ。

 上流の国が大量に貯水または放水する時は、告知を促す取り決めがされているが、チェンセーンでは突然に水位が1.5~3メートル下がることが頻繁に起きる。

 これについてタイの首都バンコクにある中国大使館は、水を止めたりしていないと主張しており、また一部のアナリストらも、責めるべき対象が間違っていると指摘する。

 香港を拠点とするコンサルタント「中国水リスク(China Water Risk)」は、「メコン川の表流水のうち、中国を流れているのは12%にしかすぎない」としながら、「西洋のメディアが中国は、国境を越えて国際河川を操っているという先入観にとらわれている」と述べ、またタイが所有するサヤブリ(Xayaburi)ダムなどラオスのダムもメコン川に大きな影響を与えているとした。