【1月14日 AFP】(更新、写真追加)内戦が続くリビアで、元国軍将校であり同国東部地域を支配する実力者のハリファ・ハフタル(Khalifa Haftar)氏が、9か月にわたる戦闘の終結を目指した協議のためロシアを訪れたものの、和平合意に調印しないまま、同国を出国したことが分かった。ロシア外務省が14日、AFPに対して明らかにした。ただロシア側は、ハフタル氏が暫定的な停戦の維持には同意していると述べている。

 ロシア外務省のマリア・ザハロワ(Maria Zakharova)情報局長によると、国連(UN)が正統性を認める国民統一政府(GNA)のファイズ・シラージュ(Fayez al-Sarraj)暫定首相がすでに調印した合意について、ハフタル氏は14日朝までに精査するよう求められていたが、13日夜に調印することなくモスクワを出発したという。

 12日に停戦が発効したことを受け、ハフタル氏側とGNAは13日、恒久的な停戦条件の大略を描いた合意への調印を目指し、7時間にわたって協議。

 だがロシアの国営メディアは、リビア側の情報筋の話として、両者が恒久的な和平合意に至らず、ハフタル氏を乗せた飛行機がロシアを出国したと報道。もろさを抱えた停戦は不安定な状態に置かれたままとなった。

 ただ、14日の協議に臨んだロシア国防省は、ハフタル氏が和平合意について2日間検討する時間を求めたと明かし、先週末に発効した停戦合意は継続されると説明。

 同省は、ハフタル氏は文書への調印は行わなかったものの、協議で「現在の停戦を維持するという原則合意」には達したとしている。

 スリランカを訪問中のロシアのセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相は同日、コロンボ(Colombo)で記者会見に臨み、同国がリビアをめぐる停戦合意を推し進めていく考えを明らかにし、「われわれはこの方向性で成果を追求していく。現在のところは、決定的な結果が得られていない」と述べた。

 石油資源の豊富なリビアは2011年、北大西洋条約機構(NATO)の支援を受けた反体制派が政権を打倒し、独裁者だったムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐を殺害して以降、混乱状態が続いている。(c)AFP