【1月14日 AFP】米大リーグ(MLB)、ヒューストン・アストロズ(Houston Astros)のA.J.ヒンチ(A.J.Hinch)監督とジェフ・ルーノウ(Jeff Luhnow)ゼネラルマネジャー(GM)は13日、ワールドシリーズを制した2017年シーズンにサイン盗みを行っていた疑惑を調査していたリーグ側から2020年シーズンの職務停止処分を受けた。これを受けて球団は両者を解任した。

 MLBのロブ・マンフレッド(Rob Manfred)コミッショナーは、球界に衝撃を与えた9ページにわたるコメント文の中で、リーグが2017年9月に発したサイン盗みに対する警告をアストロズが事実上無視していたと指摘し、「問題の行為が実際にフィールド上の結果に影響を与えたかどうか判断するのは不可能である一方、アストロズが不正に及んだと認識されたことで、競技に甚大なダメージを与えた」と述べた。

 MLBの処分が発表された直後、アストロズのジム・クレーン(Jim Crane)オーナーはヒンチ監督とルーノウGMを解雇。「私はこの街と球団に対してより高い基準を持っており、MLBが科したペナルティー以上の行動に出る」「きょう私はA.J.ヒンチとジェフ・ルーノウを解雇する決断を下した。われわれはゼロから前進しなければならない。私の目が届くうちは、このような事態が起きることは二度とない」と記者会見で語った。

 両者への処分に加え、アストロズにはMLBの規定で定められた最大限の罰金500万ドル(約5億5000万円)が科された。また、同球団は2020年と2021年のドラフト1巡目と2巡目の指名権も剥奪された。

 MLBのコメント文では、2017年シーズンに行われていたアストロズのサイン盗みは「選手主導」だったとされている一方で、同球団の元ベンチコーチで2018年シーズンにはボストン・レッドソックス(Boston Red Sox)をワールドシリーズ制覇に導いたアレックス・コーラ(Alex Cora)氏が、その計画をお膳立てしたと指摘された。

 レッドソックスも現在、2018年シーズンにサインを盗む不正行為をはたらいていた疑惑が浮上しており、報告書ではその調査が終了次第、コーラ氏に処罰を科す可能性があると警告された。

 ヒンチ監督は調査官に対して、サイン盗みは「不正であり仕事の邪魔になる」として、計画に反対していたと主張。また、反対の意思表示として、サイン盗みをする上で使用されていたビデオモニターを2度破壊したことも証言したという。

 しかしながらマンフレッドコミッショナーは、不正行為を根絶できなかったとして、ヒンチ監督には厳重処罰が妥当と判断したと述べた。(c)AFP/Rob Woollard