【1月13日 AFP】タイ政府は12日、王室の車列が首都バンコクの公道を通行する際、今後は道路の封鎖を行わないと発表した。絶対的権力を持つ国王が、世論に異例の配慮を行った形だ。

 同国では、マハ・ワチラロンコン(Maha Vajiralongkorn)国王(67)をはじめとする高位王族が厳格な名誉毀損(きそん)法で守られており、国民による王室批判は不可能に近い。

 これまで王族が乗った車が主要道路を通行する際は、警察が必ず封鎖していた。バンコクの渋滞した道路に深刻な影響が及び、通勤者らはいら立ちを募らせていた。

 タイ国民は数か月前から、王族の移動に関係するとみられる道路封鎖への不満をツイッター(Twitter)やフェイスブック(Facebook)に投稿。

 昨年タイのツイッターでは、王室の車列を意味する「#Royalmotorcade」というハッシュタグが流行し、数万件の言及があった。

 政府報道官は12日夜、国王が「交通問題を認識し、国民を気遣っている」とフェイスブックに投稿。

 同報道官が掲載した、規則変更を説明する警察の動画によると、今後は道路が完全封鎖されることはなく、代わりに警察官らがオレンジ色の三角コーンを使って王室車両の通行車線を指定。反対車線は、車両、歩行者共に利用が認められるという。

 警察にコメントを求めたが、回答は得られなかった。

 ある政治アナリストは、この新たな指針は国王が国民の懸念に応える「良い兆候」であり、これにより「人々は王室の体制をより身近に感じることができ、王室は人々を無視してはいないということを示すことができる」と話している。(c)AFP